2015 Fiscal Year Research-status Report
がん分子標的薬の特性を考慮したベイズ流用量探索法の研究開発
Project/Area Number |
15K15948
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
平川 晃弘 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (90609330)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ベイズ流アプローチ / がん / 第I相試験 / 用量探索 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗がん剤の第I相試験の目的は,最大耐量(Maximum Tolerated Dose; MTD)を同定することである.MTD は,許容できない毒性(用量制限毒性)の有無を指標として,忍容性のある最大用量と定義される.実際の臨床試験では,毒性発現確率が30%付近の用量をMTDと定義することが多い.近年では,多剤併用療法や分子標的薬の開発が加速し,これらの用量探索法が必要になってきた.多剤併用療法の場合,複数の薬剤を投与するため,その交互作用を考慮した方法が必要になる.分子標的薬の場合,その作用メカニズムを踏まえ,生物活性に基づく方法,言い換えると毒性と有効性を同時に評価する方法が必要になる.それぞれの場合について,既にいくつかの方法が提案されている. このような背景のもと,平成27年度は,抗がん剤の第I相試験における用量探索法の性能比較を実施した.用量毒性モデルとして,3パラメータモデルよりも1パラメータモデルの方が性能が良いことが示唆された.また,用量探索法を構成する4つのデザイン(用量-毒性モデル,コホートサイズ,初期用量漸増ルール,用量移動制限)が用量探索法の動作特性に与える影響を調べた.他方で,分子標的薬の用量探索法として,change-point モデルを活用した新たなベイズ流用量探索法を開発した.この提案法は,既存の方法よりも性能が良いことが示され,新たな用量探索法の一つとして有用であると考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は、抗がん剤の第I相試験における用量探索法の性能比較研究のみを実施する予定であったが,当該研究から新たな研究課題が見いだされ,新たな二用量探索法を構成する4つのデザイン(用量-毒性モデル,コホートサイズ,初期用量漸増ルール,用量移動制限)が用量探索法の動作特性に与える影響を調べた.この研究もすでに論文投稿をしており,他方で,分子標的薬の用量探索法として,change-point モデルを活用した新たなベイズ流用量探索法を開発した.この提案法は,既存の方法よりも性能が良いことが示され,新たな用量探索法の一つとして有用であると考えられた.
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Strategy for Future Research Activity |
分子標的薬の用量探索法として,用量強度に基づく用量探索法を検討する予定である.抗がん剤治療では,「用量強度」と呼ばれる単位期間当たりの投与量を指標にして,計画した用量強度に対する実際の用量強度の比(相対用量強度:0%~100%)を評価する.減量・休薬すれば,相対用量強度は低下する.臨床的には相対用量強度を高く維持できる用量が望ましい.他方で,殆どのBOD探索法は,第1サイクル(投与後約1か月間)の毒性・有効性データに基づいてBODを決定する.つまり,これらの方法は,減量・休薬につながる遅発毒性のある分子標的薬には適さない.本研究では,毒性と有効性に加えて,相対用量強度を考慮できるBOD探索法を開発する.
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Causes of Carryover |
業務上の都合により,海外出張を次年度に持ち越したため.また,新たに研究会を立ち上げ,会場料や旅費を計上する必要性が生じたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際学会参加旅費と研究会の運営費と旅費として使用する予定である.
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Research Products
(8 results)