2016 Fiscal Year Research-status Report
統計的因果推論の方法を用いたヒストリカルデータの活用
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15K15951
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
田栗 正隆 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (20587589)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 因果推論 / ヒストリカルデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、主な適用データと考えている臨床試験データの論文化が進んでおり、進捗状況としては、ほぼアクセプトの段階であり、本試験では過去の臨床試験データを新規試験の既存治療群のヒストリカルデータとして用いることで、全体の対象者数を変えずに新治療群への割付比率を上げることが行われている。新規試験内では2:1割付が行われており、既存治療群に対し、新治療群の1/2に当たる情報量をヒストリカルデータから代用している。その次の段階としてヒストリカルデータから用いる情報量を新規試験データとの類似度に応じて連続的に決定する方法についての研究を進めている。類似度は変量効果モデル(あるいはベイズ法)に基づいて交換可能なパラメータ間の分散でモデル化されることが多いが、現実には、新規試験とデザインや対象集団がよく似たヒストリカル試験の数が多くないことが想定され、結果的に分散を経験的に推定するのが困難になってしまうという問題がある。この部分の解決に取り組んでいくつかのアイデアを得ている。 当該年度中に当該研究に関連した統計理論の査読付き原著論文を筆頭著者で1報発表した(A global goodness-of-fit test for linear structural mean models. Behaviormetrika 44: 253-262, 2017.)。さらに、関連した論文を2本査読付きの国際雑誌に投稿中である。これらはいずれも本研究で目標としている治療効果の推定方法に関する研究であり、有意義であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
提案する方法に関する方法論的な検討に関して、当初の計画通り文献レビューをほぼ終えている。シミュレーション研究については計画していた評価がまだできていないが、代りに理論的な検討と実データ解析については計画よりも進んでいるため、全体として順調に進展していると考えている。本年度はシミュレーション研究と実データ解析を行い、学術論文の投稿ができると考えている。関連した方法として当該年度中に発表されたHeld and Sauter(2017)の方法についてもシミュレーションでの比較を行うことなどを検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度に引き続き提案法の開発を進めていく予定である。開発した手法により得られる治療効果の推定値の挙動が、MSEにおいて既存の方法と比較してどの程度改善されるかに着目した検討を行う。また、検証的な臨床試験では、αエラーの担保も非常に重要視されるため、その点についても検討する。提案法実際の臨床試験データに適用してその有用性について検討を行う。関連した研究の成果は積極的に学会発表・論文等による公表を行う。
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Causes of Carryover |
28年度の研究は現在使用している解析ソフトで解析を進められたことなどの理由で研究費の使用が最小限に抑えられた。 29年度は研究を効率的に遂行するためのシミュレーション計画を行う予定があり、それらの設備費として使用予定で、さらに専門家との意見交換のための旅費や学会参加費としての支出を見込んでいる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年度は研究を効率的に遂行するためにシミュレーション研究用の並列計算ができるサーバーの購入を検討している。また、研究成果の公表と専門家との意見交換のために旅費や学会参加費としての支出も見込んでいる。
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Research Products
(5 results)