2017 Fiscal Year Research-status Report
セミパラメトリック統計理論と臨床研究・臨床試験の効率化のための統計的推測手法
Project/Area Number |
15K15954
|
Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
野間 久史 統計数理研究所, データ科学研究系, 准教授 (70633486)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | エビデンス統合 / ネットワークメタアナリシス / 多変量メタアナリシス / 精密医療 / 高次漸近理論 / 臨床試験 / 臨床研究 / 不完全データ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、過去に行われた臨床研究・臨床試験のエビデンスの系統的な統合解析を行い、医薬品・医療技術の有効性・安全性についての総合的な評価を行うネットワークメタアナリシスの方法論の研究開発を重点的に行った。特に、従来からの尤度ベースの推測手法の枠組みでの方法論を多変量メタアナリシスのマルチレベルモデルのもとで整理し、漸近理論に基づく最強力検定と有効な信頼区間の構成手法のためのアルゴリズムを与えた。また、これらの手法はあくまでも中心極限定理による大標本近似に基づくものであり、サンプルサイズが大きくない場合には、現実的な条件下での妥当性が失われることが知られているが(例えば、信頼区間の真値の被覆確率が名目水準を大幅に下回る)、ネットワークメタアナリシスでは統合解析を行う試験数が十分に大きくないという条件下での解析を行うことも多い。本研究では、このような現実的な条件下で、正確な統計的推測を可能とする高次漸近理論による手法の開発を行い、Bartlett補正とBootstrap検定に基づく推測手法を開発した。モンテカルロシミュレーションによる数値実験やいくつかの臨床試験の統合解析による評価によって、従来の標準的な方法が妥当性を失ってしまうような条件下でも、新手法からは正確な推測結果が得られることが示された。また、大規模臨床試験の個人レベルデータの統合解析による精密医療(precision medicine)のための有効な解析手法の開発にも取り組み、個々人の特性に応じた治療効果の予測のために有用な手法を開発した。加えて、不完全データを伴う臨床試験の経時データ解析のための高次漸近理論による推測手法および正確な推測手法についての研究にも取り組み、いくつかの有効な解析手法の開発に成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該領域の国際一流ジャーナルへの研究論文の公表にも成功しており、十分な成果を上げられていると評価している。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度では、現在、国際学術誌へ投稿中および投稿準備中の研究論文の公表に成功することができるよう、着実に研究・出版活動を進行する。
|
Causes of Carryover |
病気治療による入院のために、前年度、中止となった海外出張旅費の繰り越し分の一部を、最終年度に繰り越しするため。
|
Research Products
(7 results)