2016 Fiscal Year Research-status Report
経年劣化の緩和と監視に基づく高信頼プロセッサの研究
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15K15960
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
新谷 道広 京都大学, 情報学研究科, 特定助教 (80748913)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | NBTI / NBTI緩和 / プロセッサ設計 / 経年劣化 / タイミング解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の計画通り,ワークロードに対する経年劣化に対するキャラクタライズおよび経年劣化モニタのアーキテクチャのための経年劣化モデルの検討を進めた.またこれに加えて,昨年度提案した手法の改善として,機械学習を用いたタイミング解析手法と高速な経年劣化緩和セル置換手法を提案した. (1) ワークロードに対する経年劣化キャラクタライズ:ランダム生成した多数のワークロードを用いた解析から,ワークロードに依存せず,常に劣化状態となる回路構成があることを見出した.このような構成を効率的に抽出する手法を提案した.また,この結果から,これらの回路構成によって,回路の経年劣化が進展していることが分かった. (2) 経年劣化モニタのアーキテクチャの検討:経年劣化を正確にモニタするためには,経年劣化の振る舞いを忠実にモデル化する必要がある.代表的な経年劣化現象であるNBTIには,Reaction-DiffusionモデルとTrapping-Detrappingモデルが知られているが,正当性についてはまだ議論が続いている.本年度は,これらを統合した新たなモデルを提案し,実測から既存の2モデルより正確であることを示した. (3) 昨年度手法の改善:(3-i)機械学習で小規模回路のタイミング劣化を学習し,評価対象である大規模回路の劣化考慮タイミング解析に適用する手法を提案した.機械学習により経年劣化を学習することで,多数の経年劣化要因因子の相関を考慮してセルの経年劣化のセルライブラリを生成できる.(3-ii)劣化緩和セルは,通常のセルよりもオーバーヘッドを要するため,戦略的に劣化緩和セルとすべきセルを選択する必要がある.昨年度は遺伝的アルゴリズムおよびk-means++を用いた最適化手法を提案したが,今年度は,ニューマンクラスタリングや枝刈り手法の追加することで効率化している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多数のワークロードに対する経年劣化キャラクタライズについては当初の計画通り検討を進めることができ,ロードワークに依存せず劣化する回路構成を見出すことに成功した.また,経年劣化モニタのアーキテクチャの検討に必須となる経年劣化モデルの見直しについても順調に進んでいる.以上より,全体としてはおおむね順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である次年度は,これまでの検討内容をさらに押し進め,主に実チップやFPGA等を用いた効果の検証を行う. (1) ワークロードに依存しない常時劣化パスについて,本年度は実験的に求めるにとどまっている.次年度は,より回理論に基づいた常時劣化パスの抽出につとめる. (2) 今年度検討した新たな経年劣化モデルに適したアーキテクチャの経年劣化モニタのアーキテクチャを検討・実装する. (3) 経年劣化の緩和を実証するために,実デバイスによる評価を行う.ここでは,上記(2)における経年劣化モニタと遅延劣化緩和セルを実装し,正確な経年劣化の予測およびそれに基づいた緩和を目指す.
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Causes of Carryover |
経年劣化モニタの設計時に不具合があることが分かったため,今年度のデバイス試作を見送った.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実デバイスによる実証を行うため,複数回の試作を計画している.その他,研究成果の発表や研究調査をおこなうために,国際会議に参加するための費用として充当する.
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Research Products
(19 results)