2015 Fiscal Year Research-status Report
フィールドでの一時故障への耐性を重視した非同期式回路の高信頼設計に関する研究
Project/Area Number |
15K15961
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
岩垣 剛 広島市立大学, 情報科学研究科, 助教 (00397845)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 非同期式回路 / 4相2線式 / 高位合成 / ハンドシェイク遅延 / スケジューリング / 演算器バインディング / 演算チェイニング |
Outline of Annual Research Achievements |
大規模集積回路(LSI)の微細化・高速化に伴って,クロック信号に起因する様々な問題が同期式回路で顕在化しており,クロック信号を用いない非同期式回路への期待が高まっている.本研究では,非同期式回路を今後実用化する上で特に重要となる,LSI出荷後のフィールドでの信頼性に主眼をおいた設計法の確立を目指している.具体的には,LSIの電圧変動等の内的な要因や放射線衝突等の外的な要因によって生じ得る,フィールドでの一時的な故障(一時故障)に着目し,(1)非同期式回路における一時故障の振る舞い,(2)一時故障によるエラーの低コストな検出・訂正機構,(3)要求される信頼度に応じて最適な非同期式回路を生成する高位合成法の3点を明らかにすることを目的としている.
本年度は上記の(1)と(3)の目標に向けた課題に取り組み,以下の成果を得た.
非同期式回路の一方式である「4相2線式」を対象とした高位合成に関する議論をおこなった.具体的には,高位合成によって生成される回路において,ハンドシェイク遅延(演算の開始と終了を制御するハンドシェイクに要する遅延)が,演算の遅延と比べて無視できないことを予備実験で明らかにし,それを考慮した高位合成問題(特に,演算器数制約の下での回路遅延最小化スケジューリング問題)を定式化した.この問題に対し,演算チェイニング(ハンドシェイク遅延を削減する技術の一つ)を前提としたスケジューリングアルゴリズムを提案し,その有効性を計算機実験により示した.以上の研究成果を国内研究会で発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は非同期式回路における一時故障の振る舞いの解析を中心に進める予定であったが,新たな課題(ハンドシェイク遅延に関する事項)が明らかとなり,その解決を優先したため,当初の計画より若干の遅れが生じた.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は「一時故障によるエラーの低コストな検出・訂正機構」の議論を中心に研究を進める予定である. 研究協力者を増やし,予備実験・評価実験等を効率化することで,本年度に生じた研究の遅れは十分に取り戻せると考える.
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Causes of Carryover |
当初目指していた国際会議への投稿に至らなかったため,旅費等に余剰が生じた. また,本年度に実施した予備実験等を既存の設備で賄えたため,物品費に余剰が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
余剰金は,研究成果の発表や研究調査・討論をおこなうために,国内外で開催される学会等に参加するための費用として活用する. また,国際会議等への投稿に必要な予備実験や評価実験を効率的におこなうために,新たな機器を導入する費用としても活用する.
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