2016 Fiscal Year Research-status Report
近距離無線アシスト調整による基板間配線における超高速ディジタル信号伝送手法の開発
Project/Area Number |
15K15962
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Research Institution | Oyama National College of Technology |
Principal Investigator |
飯島 洋祐 小山工業高等専門学校, 電気電子創造工学科, 助教 (90565441)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | VLSIシステム / 高速ディジタル通信 / 波形整形技術 / FPGA / 回路調整 / ディジタル信号処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、大規模集積回路(VLSI)システムにおいて、CPUなどの半導体素子の処理速度はGHz以上に高周波数化しており、それに伴ってチップ間/回路基板間の電気配線上での通信の高速化の要求が高まっている。高周波数領域での電気配線による信号劣化の影響が通信の大容量化を制限しており、VLSIシステム全体での高性能化を律速させている。本研究では、受信端での信号歪みの影響を完全に除去するために、ディジタル信号処理に基づく波形整形技術であるTomlinson-Harashima Precodingを用い、近距離無線アシスト調整による送信イコライザ回路技術の構築を進めている。特に、本年度は、H27年度に実施した受信端波形データの統計処理に基づく自動調整アルゴリズムの検討結果に関して、実機上での性能評価を実現するために送信イコライザ回路の試作およびそのハードウェア評価を実施した。 昨年度に実施した測定器連携でのシステムにて行った基礎検討の結果に基づき、電気的に書き換え可能なハードウェアであるFPGAを有する評価ボードに送信イコライザ回路を試作し、実装コストなどの回路性能を評価した。具体的には、Tomlinson-Harashima Precoding(THP)をベースとした送信イコライザ回路に調整機能を付加し、外部通信にて回路係数を調整可能な回路をFPGA上に試作した。さらに、THPをベースとし、新たに提案したDouble-rate THPについても回路実装に関する評価を実施した。これによって、最終年度に上記成果とH27年度の成果を融合させ、本研究の近距離無線アシスト調整による送信イコライザ回路の有効性が実機上にて評価可能な実験システムの基礎を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H27~H28年度の実施について、チップ間/回路基板間の電気配線における高速ディジタル通信に向けた調整手法、およびTomlinson-Harashima Precoding(THP)をベースとした送信イコライザ回路の試作およびTHPベースの新たな伝送回路の提案を行っている。その成果は関連の国内学会(エレクトロニクス実装学会等)と国際会議(IEEE 46th International Symposium on Multiple-Valued Logic (ISMVL))にて発表し、論文誌(電子情報通信学会誌)の掲載も決定しており、特に会議等での発表を通じて有益な議論および知見も得られている。 しかしながら、H28年度の当初予定していた調整機能付イコライザ回路の開発に関しては順調に進んでいるものの、FPGA上への実装上の問題で予定していた技術目標を十分に満足できていない。回路実装に関しては、H29年度も引き続き検討を進める計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、これまで実施してきた研究の取りまとめを行うと共に、「近距離無線アシスト調整による送信イコライザ回路の構築」に関して検討を進める。 上記検討では、これまで開発を進めてきた調整技術と回路技術を融合し、受信端での波形データに基づく統計的な評価結果を用いてワイヤレスで送信イコライザ回路を調整可能な技術に関して基礎開発を進める。特に、Tomlinson-Harashima Precodingをベースとした調整機能を有する送信イコライザ回路を開発し、Pulse Amplitude Modulation(PAM)-4などの多値伝送方式に対する本研究の有効性を実機上(試作回路)にて明らかにしていく計画である。
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Causes of Carryover |
当初より発表を予定していた国際学会の開催がH28年度は国内(北海道大学)であったため、研究の成果発表に関する旅費の出費が抑えられたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度であるH29年度に実施する近距離無線アシスト調整による送信イコライザ回路技術の有効性の検証に関して、有効性の検証実験の充実に向けた評価システムの構築費用に充当する。
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