2016 Fiscal Year Research-status Report
無線アドホックネットワークにおけるネットワーク主導形パケット転送方式の研究
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15K15978
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| Research Institution | The University of Electro-Communications |
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Principal Investigator |
山本 嶺 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 助教 (90581538)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | 無線アドホックネットワーク / 経路制御 / Opportunistic Routing |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本年度の検討においては，初年度に引き続き，Opportunistic Routing（OR）技術についての検討を主に行った．初年度の検討では，従来問題となっていた待機時間を元にしたORに対する改善として，優先転送端末を用いた転送制御について検討を行った．本年度の検討では，初年度の検討に関する改善と併せて，ネットワーク階層化とクラスタリングを用いたスケーラブルなORについての検討を行った．従来，ORでの転送制御には，事前に取得したホップ数，伝送成功率，信号強度などのパラメータを事前にネットワーク全体にわたって取得する必要があり，ネットワーク規模の拡大や即応性，トポロジー変化に対する適応性に問題があった．そこで，ネットワークを小規模な集合，つまりクラスタに分割し，それらを階層的に構成することで，管理対象となる範囲の縮小及びスケーラビリティの向上を図る手法について検討を行った．提案した手法では，Local Cluster，Regional Clusterという2種類のクラスターを用いることで，より柔軟な転送制御を実現した．これは，クラスタリングのメリットである制御の局在化とORのメリットである転送制御の冗長性を併せもつものであり，従来手法と比較して転送効率，スケーラビリティの向上を実現することができた．そのため，この検討によって得られた成果を，本研究の最終目的であるネットワーク主導形パケット転送の基幹部分となる転送制御へ応用することが期待できる．また，同時に検討を行っていた優先転送端末を用いた転送制御においても，再送制御や近傍端末数に応じた優先転送制御を追加するなどし，様々なネットワーク形態に柔軟に対応できるよう改良を実施した．こちらの検討についても，本研究における転送制御に応用可能な技術であるため，ネットワーク形態に応じて転送制御を切り換えるなどの方策が考えられる．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画においては本年度はコネクション管理についての検討を中心に行う予定であったが，実際は主に転送制御技術の検討を中心に行った．しかし，本年度検討した内容については，研究全体に対する貢献度が高い部分であるため，より詳細に検討する必要があった．その結果，査読付き論文誌2件，国際会議3件，その他国内学会などで研究成果の発表を行い，一定の評価を得ることができたと考えられる．また，本年度主に検討予定であった内容については，並行して検討を行っており，最終年度初頭に成果発表を行うことができる予定である．
昨年度より実施している実機環境を用いた実験では，小型コンピュータ（Raspberry Pi）を用いてBluetooth LEを用いて無線アドホックネットワークを構築し，シミュレーション評価と実機評価の性能比較を実施した．実機実験では，シミュレーションでは想定できない様々な容易が性能へ影響を与えるため，評価結果に対する更なる考察が必要であると考えられるが，今回の実装で必要となった技術については今後も応用可能であるため，実装フェーズの効率化を実現できると考えられる．
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| Strategy for Future Research Activity |
進捗状況で述べたように，次年度初頭にコネクション管理についての成果を発表予定である．また，最終年度に検討予定である内容については，年度中旬までに検討，及び検証を終了し，成果発表を行う予定である．研究計画段階では，CCNアーキテクチャなどの無線アドホックネットワークへの適応を予定していたが，これを従来通りのIPネットワークアーキテクチャを用いて実現するよう修正する予定である．これは，既存ネットワークとの親和性，端末の計算資源などの点から検討を行った結果，無線アドホックネットワークにおいてCCNアーキテクチャを効率的に運用することが困難であるとの結論に達したためである．しかし，将来の技術向上を考え，CCNアーキテクチャを運用可能な形態で検討を行う予定である．そのため，より柔軟かつ拡張性の高い方法で検討を行う．具体的には，転送制御に入力される内容に応じて，制御の方策を適応的に変化させるように本年度までの検討について改良を行い，上位レイヤの指示に応じた制御が可能となるよう検討を行う．
また，実機実験による性能評価については，シミュレーション評価を終えた後の課題として実施する予定であり，小規模なネットワークでの適応性について検証を行う．
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