2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K15979
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森本 尚之 京都大学, 物質ー細胞統合システム拠点, 助教 (40739447)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 電力割当制御システム / オンデマンド型電力供給システム / 組合せ最適化 / スマートグリッド |
Outline of Annual Research Achievements |
オンデマンド型電力供給 (Energy-on-Demand: EoD) は需要家サイドの電力マネジメントのための新しいコンセプトであり、利用可能な電力に上限が定められている状況で電力の流れを高度に制御することを目的とする。消費電力の合計値が利用可能な電力の上限値を超えている時には、各家電に与えられたパラメータに基づき、生活の質をできるだけ損なわないように電力割当マネージャが最適な電力割当を計算し、各家電への電力供給量を制御する。本研究では、家電の消費電力の組合せ最適化に基づくEoDシステムの提案と実装、および評価を行った。実装したシステムは、各家電の消費電力をスマートタップを用いて測定し、多重選択ナップザック問題に対するアルゴリズムを用いて最適割当を決定し、赤外線通信及び機械式リレーにより家電を制御することで電力割当を実現している。本成果は査読付き国際会議 IEEE Consumer Communications and Networking Conference (CCNC)、情報処理学会関西支部支部大会、情報処理学会組込みシステムシンポジウム2015にて発表した。また、複数の電力源がある場合を複数の電力消費機器に効率よく割り当てる問題を割当制約つき複数ナップサック問題として解釈し、既存の近似アルゴリズム並びに改良版のアルゴリズムの実験的な評価を行い、各アルゴリズムの性能を比較した。本成果は情報処理学会関西支部支部大会にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度である27年度に予定していたシステムの試作開発が順調に進んだため、28年度に予定していた評価実験の一部を前倒しで行い、査読付き国際会議IEEE CCNCに採択されるなど一定の成果を得ている。一方でパラメータの決定手法については引き続き検討が必要であり、28年度の重要課題と考えている。総合的に見て、おおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は引き続き、初年度(27年度)に開発した電力割当制御システムをベースとして、実生活環境またはそれに近い実験施設での評価実験を行う予定である。既開発のシステムは赤外線通信またはスマートタップの機械式リレーにより機器への電力割当量を制御するが、ECHONET Liteなどの制御プロコトルに対応した機器(いわゆるスマート家電)を利用できればより柔軟な動作モード変更や電力割当量の制御が可能となるため、システムの拡張を検討している。評価実験にあたっては、申請時の計画に記載した通り、節電の効果は定量的に評価可能である一方で、生活の質への影響は利用者による個人差が大きいと考えられるため、可能な限り多様な協力者および人員構成による実験を行う。その他、動的なパラメータ変動にも対応できることを目指し、評価実験の結果を踏まえてモデルを改良する予定である。
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Causes of Carryover |
当初の成果発表計画では、27年度に学会発表をもう1件程度行う予定であった。しかし、研究の進捗状況を踏まえて成果発表の計画を見直し、学会発表ではなくジャーナル論文の投稿に変更したため、当初予定の学会発表費用は次年度に使用することとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度利用額は、別の学会発表費用や、現在投稿準備中のジャーナル論文の英文校正費用および採録された際の掲載料などに充てる予定である。
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Research Products
(5 results)