2016 Fiscal Year Research-status Report
柔軟なノード間連携により大量のデータの処理を実現するセンサシステム基盤技術の開発
Project/Area Number |
15K15984
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
今井 信太郎 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 講師 (50510260)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | センサシステム / センサネットワーク / マルチエージェントシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究では,サービスやデータ,デバイスなどの環境に適応した動作を可能とする,マルチエージェント技術に基づくセンサシステム基盤技術の研究開発を目的としている.平成28年度は,システム全体で環境に適応して動作するための,複数センサ間の交渉プロトコル,データの処理場所を移動する場合の処理プロトコルを検討・開発した. 交渉プロトコルとしては,契約ネットプロトコルを発展させた手法を用いる.このプロトコルは,(1)タスクの提示,(2)タスクを実行可能なエージェントによる入札,(3)入札を比較し落札者を決定により,タスクを実行するエージェントを決定する.これを実現するために,各センサノードに自身が実行可能なタスクやスペック情報を保持し,他のノードと通信可能なマネージャエージェントを配置する.落札者の決定は,サービスを提供するために必要な資源量と各ノード・ネットワークの資源量を,27年度に決定した電力残量などの5項目について比較することにより行う.また,データ処理場所の移動の要否も落札ノードの決定時に判断する.サービスの提供中にしきい値を超える環境の変化を検知した場合は,再度エージェント間で交渉することによりサービスを提供するエージェント組織を再構成し,変化に対応する.データの処理場所を移動する場合の処理プロトコルは既存のエージェントプラットフォームであるJADE上に提案手法を実装することにより実現する. 以上の提案手法を実装したプロトタイプシステムを作成し,特定のノードに突発的に大きな負荷が発生した場合,特定のノードの電力残量が低下した場合などを想定した環境において評価を行った.その結果,システムは環境の変化を観測し,データ処理場所の変更やノードの再選択を行うことによってノードの負荷や消費電力を低減させ,変化に対応することができていた.この研究成果を海外の論文誌や研究会において発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の進捗は,ほぼ当初の予定どおりであり,提案手法の主要な2機能である,センサノードとエージェントシステムのブリッジング機能とエージェント間の協調プロトコルを開発し,評価用のプロトタイプシステム・シミュレーション環境の構築を進めている.プロトタイプシステムの構築において,提供するサービスや取得するデータに対応したエージェントを作成する必要があり,軽微な遅れが生じているが,影響は限定的である.
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Strategy for Future Research Activity |
本申請研究の最終年度である平成29年度は,当初の予定どおり,27,28年度に開発した機能を評価するための実験環境およびシミュレーション環境を構築し総合評価を行う.また,本手法の限界や今後の研究課題を明らかにする.
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Causes of Carryover |
成果発表の回数が予定していたよりも少ないこと,および英語論文の掲載において予算に計上していた掲載料を必要としない論文誌への掲載となったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
提案手法の評価環境を構築するための機材が不足しているため,その物品費に充当する.
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Research Products
(3 results)