2015 Fiscal Year Research-status Report
インターネットを通じたユーザ連携促進と集団誘導を実現するための階層型情報伝搬技術
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15K15985
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
作元 雄輔 首都大学東京, システムデザイン学部, 助教 (30598785)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 情報ネットワーク / 統計力学 / イジングモデル / スペクトラルグラフ理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
インターネット技術が急速に進歩・普及し,インターネット上で SNS やブログなどを通じた情報発信や情報収集が活発に行われている.このような情報収集によって,現代社会における個人の意見を決定する要因は大きく変化している.従来であれば,個人の価値観やテレビや新聞,ニュースサイト等のマスコミによる要因が大きかったが,インターネットでの情報発信や情報収集が活発化することによって,個人間の口コミによる要因が無視できなくなっている.
今年度は,このような背景を受け,口コミなどの個人間の相互作用を表わす数理モデルの構築と有効性の評価を行った.まず,統計力学でよく用いられているイジングモデルをベースに個人の状態や相互作用を記述し,個人の相互作用が生み出すマクロな性質を分析した.また,このイジングモデルによる相互作用の記述と,グラフ理論において良く使われる分析手法であるスペクトラル理論との関係を明らかにした.さらに,英国における政党を特徴付けたポリティカルコンパスを用いて,具体的な分析を行った.具体的には,口コミなどの個人間の相互作用によって,支持されやすい政党や支持されにくい政党を明らかにしすることができた.また,分析結果とシミュレーション結果を比較し,それらの結論が一致することを示すことで,構築したモデルの有効性を明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を進める上で,その基礎となる数理モデルの検討が順調に進んでいる.この数理モデルは,次年度以降での階層型情報伝搬技術を構築する上で極めて重要な部分となるために,十分な検討が必要であるが,平成27年度の取り組みによって,その大半を完了することができた.また,当初適用ができないと思われていたスペクトラルグラフ理論を個人の相互作用の記述と分析に用いることによって,予定していた数理モデルよりも一般的な特性を分析できるモデルを構築できた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,構築した数理モデルに基づいて階層型情報伝搬技術を構築することを考えている.そのためには,個人間の相互作用の数理モデルに,現実的な特性を組込む必要がある.しかしながら現実的な特性は複雑性や予測困難性を含んでおり,研究推進が困難であることが予想される.現状の推進方策としては,複雑性や予測困難性をランダムに記述し,モデルに組込むことを予定している.ランダム性を含んだモデルの分析として,ランダム効用理論が知られており,構築した数理モデルの特性分析や情報伝搬技術の構築にランダム効用理論を用いることを考えていく予定である.
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Research Products
(11 results)