2016 Fiscal Year Research-status Report
インターネットを通じたユーザ連携促進と集団誘導を実現するための階層型情報伝搬技術
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15K15985
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
作元 雄輔 首都大学東京, システムデザイン学部, 助教 (30598785)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 情報ネットワーク / ソーシャルメディア / 合意形成 / 世論形成 / グラフ理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
ソーシャルメディアの発展・普及により,Facebook や Twitter などの SNS(Social Networking Service) などを通じて個人の情報発信(いわゆる,口コミ) が容易に行えるようになっている.その結果,口コミによる個人の相互作用が現代の世論形成に大きな影響を与え,デモなどの社会現象を牽引している.昨年度は,口コミが生み出す個人の相互作用と世論形成の関係を理解するために,イジングモデルをベースにした数理モデルを構築し,その特性を分析した. 今年度は,現実的な特性を取り入れた数理モデルの構築を行ない,その特性を分析した.口コミが生み出す個人の相互作用として同調と反発(例えば,SNSの書き込みに対する賞賛や非難) が挙げられる.同調の際には同じ意見を取ろうとする.一方で,反発の際には異なる意見を取ろうとする.反発が多い状況下では社会全体が単一の意見に自然にまとまるような合意形成は難しく,どのような意見が形成されるかを理解することが合意に向けた第一歩となる.そこで,今年度は口コミの現実的な特性として反発を取り入れた数理モデルを分析した.この数理モデルにおけるネットワークモデルでは,個人の同調関係は正のリンク,反発関係は負のリンクで表現される.このような数理モデルにおいて,意見形成が行なえる社会ネットワークの条件を明らかにした.また,この条件を満たし,意見形成が行える場合には,社会ネットワーク全体が複数のコミュニティに分割されることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度および平成28年度の取り組みによって,本研究の基礎となる数理モデルの構築が完了している.また,数理モデルを用いて,本研究の最終的な目的である階層型情報伝搬技術の構築に向けた検討も進んでいる.特に,平成28年度の取り組みによって,現実的な特性を取り入れたより複雑なモデルによって口コミによる個人間の相互作用が理解できており,そこで得られた知見は階層型情報伝搬技術の構築に役立つ.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度および平成28年度の取り組みによって構築した数理モデルに基づいて階層型の情報伝搬技術の開発を行なっていく.この数理モデルでは,社会ネットワーク全体が複数のコミュニティに分割されることを示した.このことを踏まえて,コミュニティ間よびコミュニティ内といった2つの階層においてどのような情報伝搬を行えばよいかを検討する.また,社会全体が望ましい方向に進むためには,どのような誘導をしていけばよいかを明らかにする予定である.さらには,検討した階層型情報伝搬技術や集団誘導技術の有効性を調べる予定である.
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Causes of Carryover |
研究成果の発表先をIEEE の主要な国際会議(ICC)に変更したため,査読期間が予定よりも長くかかった.その結果,平成28年度で使用する予定であった海外出張旅費を次年度に繰り越した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
IEEE の国際会議 ICC での海外出張旅費で使用する.
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Research Products
(4 results)