2015 Fiscal Year Research-status Report
全光環境と将来ネットワーク技術の融合を図る新たなネットワーク設計
Project/Area Number |
15K15988
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
平田 孝志 関西大学, システム理工学部, 准教授 (10510472)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 全光ネットワーク / コンテンツ指向ネットワーク / ネットワーク仮想化 / ネットワーク最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,ネットワーク仮想化やコンテンツ指向ネットワークといった将来ネットワーク技術が提唱され,上位レイヤの形態が急速に変化してきている.本研究では,これらの上位レイヤとしての将来ネットワーク技術と,下位レイヤとしての全光ネットワークの相互作用を考慮した統合的なネットワーク設計手法を確立するために,課題を「(a) コンテンツ指向全光ネットワーク設計」,「(b) 仮想全光ネットワーク設計」,「(c) 統合ネットワーク設計」の三つの小課題に分け遂行している. 課題(a)においては,平成27年度では,課題の第一段階として,コンテンツ指向ネットワーク技術におけるコンテンツキャッシュ問題に取り組んだ.具体的には,分散ハッシュテーブルを用いた情報共有によるコンテンツダウンロード手法を提案し,その有効性を示した. 課題(b)においては,仮想ネットワークを実現する技術の一つであるSDN(Software-Defined Networking)に着目し,研究を遂行した.SDNにおいては,データの転送は各SDNスイッチが保持するフローエントリに従い行われるが,SDNスイッチが保持できるフローエントリ数には限りがある.本研究では,フローエントリ集約を用いた経路制御手法を提案し,リンク利用率とフローエントリ数が削減できることを示した. 課題(c)においては,課題(a),(b)の統合のために,平成27年度ではまず基盤となる全光ネットワーク設計に着目し,研究を遂行した.具体的には,最適化手法を用いて省電力かつ信号品質劣化の原因となる非線形光学効果の影響の削減を行う全光ネットワーク設計手法を提案し,その有効性を示した.また,将来の光ネットワーク技術であるエラスティック光パスネットワーク設計も併せて行った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べたとおり,本研究は三つの小課題に取り組んできた.「課題(a)コンテンツ指向全光ネットワーク設計」においては,コンテンツ指向ネットワーク技術と全光ネットワークが相互に与える影響を明らかにすることを最終的な目的としているが,平成27年度の段階においては,当初の予定通り主にコンテンツ指向ネットワーク技術に着目し研究を遂行し,新たなコンテンツダウンロード手法を提案した.本研究成果は国内学会において発表している. 「課題(b)仮想全光ネットワーク設計」においては,仮想ネットワークを実現する技術であるSDNに着目し,SDN独自の制約であるフローエントリ数を考慮した新たな経路制御手法の提案を行った.本研究成果は国内学会において発表しており,概ね当初の予定通り研究を遂行しているといえる. 「課題(c) 統合ネットワーク設計」に関しては,平成27年度の段階では,基盤となる全光ネットワーク設計を検討した.本課題では,当初の予定通り,将来の光ネットワーク技術であるエラスティック光パスネットワークに着目し,利用周波数を効果的に削減するようなネットワーク設計を,最適化手法を用いて行った.また,消費電力や非線形光学効果の影響にも着目し,これらを削減するためのネットワーク設計手法の提案を行った.これらの研究成果は,国際学会及び国内学会において発表を行っている. 以上により,概ね順調に研究を遂行しているといえる.
|
Strategy for Future Research Activity |
課題(a)に関しては,平成27年度に提案したコンテンツダウンロード手法と全光ネットワーク設計が相互に与える影響を調査する.また,全光ネットワークに適したコンテンツ配置手法の提案及びダウンロード手法の改良を検討する.その成果は,国際会議及び学会論文誌へ投稿する. 課題(b)に関しては,SDNと全光ネットワークの協調動作を実現するために,平成27年に提案した経路制御手法が全光ネットワークに与える影響を調査する.また,そこで得られた知見をもとに手法の改良を行い,その成果を国際会議及び学会論文誌へ投稿する予定である. 課題(c)に関しては,現在得られている結果をまず学会論文誌において発表する予定である.また,課題(a),(b)において得られた結果,知見をもとに,新たな全光ネットワーク設計を検討,考察する予定である.最終的にすべてを統合し,その有効性を評価する.また,その成果を学会論文誌で発表する予定である.
|
Causes of Carryover |
おおよそ当初の計画通りの支出は行えたが,平成27年度の研究を遂行するのに十分な設備が整っていたため,無理に予算を使用しなかった.結果として6千円程度の次年度使用額が残った.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究を効率よく遂行するために,実験用パソコンを購入する予定である.また,成果発表および資料収集のための旅費や,論文投稿費に使用する予定である.人件費としては,実験補助として大学院生を雇う予定である.また,研究に関連する資料として,図書の購入を検討している.
|