2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K15998
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
藤井 昭宏 工学院大学, 情報学部(情報工学部), 准教授 (10383986)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 代数的多重格子法 / ニアーカーネルベクトル / 1節点多自由度問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,代数的多重格子法の通信を最小化するため,粗い問題行列を粗格子集約手法により,並列度を効率よく落とし,スケーリング性能を改善することを目指している.またそれのプロトタイプ実装を行い,有効性を示すとともに,実際に利用可能なライブラリの研究開発も目標としていた.昨年度までに,この粗格子集約手法の実装を終え,さらにこれまでは収束しにくい成分を一つしか指定できなかったものを,任意本数指定ができる実装に拡張を行った. それを受け,今年度は実際に条件数の悪い問題を対象に,収束しにくい成分を複数本事前に指定することでどの程度収束性の改善が可能か,またどのように収束しにくい成分を抽出すれば収束性の観点で適切か調べ,研究発表を行なった.この収束しにくい成分を複数本 指定する解法は多くの難しい問題に対し有効となる可能性があり,ライブラリの可用性をあげるためには重要なテーマとなっている.また通信の最小化については,スーパーコンピューターFX10で利用可能なRDMA通信ライブラリを利用し,疎行列ベクトル積の隣接通信の時間を最小化する研究を行った.これら以外にも,代数的多重格子法の適用先の一つとして複素数電磁場解析の問題に適用しその有効性を評価した研究や,多重格子法の時間積分へ適用し並列化する手法についても研究を進めることができた. 次年度は,本課題で研究開発している粗格子集約手法の通信最小化効果や,スケーラビリティの観点での評価,研究を中心的に行うとともに,多重格子法,通信に関連する上記のテーマも研究を進めていきたい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
収束しにくい成分を複数本指定する本研究課題の実装を使い,収束しにくい成分の与え方を研究し,この実装の有効性を評価した.これにより,収束しにくい成分を複数本指定する解法の有効性を示すことができた.この実装も含めて,粗格子集約手法の有効性の評価を次年度に行うことで,課題全体として適切にまとまる予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の予定にはなかったが,対象する研究を収束しにくい成分を複数本入力できる実装まで研究対象を拡張したため,粗格子集約手法の評価が予定通りには実施できなかった.しかし,この拡張により本課題のコードとしては有用性が増したと考えている.次年度はこの粗格子集約による通信の最小化についての研究,評価を中心的に行う.
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Causes of Carryover |
当初想定していた,計算環境の整備は他の科研費と共同で支出を行い,その費用を抑えることができた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
この助成金は研究発表や,論文投稿料,校正代に当てる予定である.
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Remarks |
研究成果の一部をプログラムとして公開している。
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