2016 Fiscal Year Research-status Report
グレブナー基底を用いた楕円曲線上の離散対数問題への解析
Project/Area Number |
15K16003
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
Dahan Xavier お茶の水女子大学, 理学部, 学部教育研究協力員 (50567518)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | グレブナ基底 / 楕円離散対数問題 / 多変数多項式 / ポスト量子暗号 |
Outline of Annual Research Achievements |
27年度の実施状況報告書で掲載した通り、指数計算法(index calculus)を使って楕円離散対数問題を攻撃する目的としたpoint decomposition problem(PDP)がMin-Deh Huang氏らのEurocrypt2015年の論文に予想以上難しいと明らかにされた。それ以来、この方法に対して肯定的な結果を与える論文が出なかった。ただし、多変数多項式に関する計算側面は今なお重要であり、楕円曲線の一部に対してPDP法は離散対数問題に対するgenericアルゴリズムを打ち負かす可能性がある。まず、零次元グレブナ基底による、位数qの定義体の方程式「Xのq乗 - X」を規約する「正規化バイナリ法」を考察した。PDP法により現れる多変数多項式の有理点を求める際に標準方法に比して簡単な加速を得る。 当初計画に関連するこの研究の他、研究が当初計画どおりに進まないときの対応として「連立多変数多項式の求解」を改善した。 例えば、準素例次元辞書式順序グレブナ基底上の係数を持つ多項式に対して、新しい最大公約多項式(gcd)を提案した。20年前に、冪零元のある環上のgcdの存在性を提起した問題をだいぶ答え、またさらなる研究の動機となる。2017年の国際シンポジウムISSACで発表する予定である。 その他、順序式グレブナ基底の補間アルゴリズムの計算量を明確に見積もるために、Mapleソフトで実装した。また、ポスト量子暗号の候補の格子暗号NTRUを群の表現論を用いる一般化への研究を安田氏(岡山理科大学)と探求した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
主な理由とは、当初計画に対する悲観的な結論を与えるMin-Deh Huang氏らのEurocrypt 2015年に発表した論文が計画の再編成に影響をもたらした。また、28年度に新規性を持つ研究に集中し、その結果は29年度に発表する予定である。そのもとになる上記の28年度に行った研究のほとんどの結果がまだ発表されていないからである。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 最初に、上記の進行中の研究を完結する。(2) 次に、本課題についてのpoint decomposition problemを記述するSemaev多項式の対称性を生かして以前の研究をまたさらに改善できるアイデアを調べる(横山氏、篠原氏、Renault氏との共同研究)。(3) その後、提案した新しいgcd概念を発展する予定である:部分終結式(subresultant)に基づく効率的なアルゴリズムを完成し、それからその計算量を評価し、また一つだけではなく複数の準素成分に一般化する。
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Causes of Carryover |
28年度に取り組んだ研究はほとんど29年度に実を結ぶ予定なので、29年度に国際と国内学会などで発表しに行けるように繰越金として財源を確保した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次の学会とシンポジウムで、前年度までに得た結果を発表する:issac 2017 (ドイツ), ACA 2017 (イスラエル)、SCIS2018(九州)、RIMS 研究集会(京都)。また、前述の共同研究を進めるためにカナダ(Waterloo大学)あるいはフランス(Paris大学)を訪ねることを検討している。
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