2016 Fiscal Year Research-status Report
時間間隔知覚の不一致現象から聴覚コミュニケーションの基盤を紐解く
Project/Area Number |
15K16010
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
蓮尾 絵美 東京電機大学, 情報環境学部, 研究員 (60725969)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 時間知覚 / 聴覚 / 充実時間 / 空虚時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
物理的には等しい長さの時間間隔であっても、その時間間隔が一つの持続音の始まりと終わりとで区切られた場合(充実時間)と、二つの別々の短音で区切られた場合(空虚時間)とでは、「時間間隔知覚の不一致」が生じることが知られている。本研究では、このような音の区切りの違いによる時間間隔知覚の不一致現象の神経基盤を調べる。
前年度に行った心理実験により、時間間隔知覚の不一致現象の生じ方が、物理的な時間間隔の200 msあたりを境に変化することが明らかになった。本年度は、この境目となる時間間隔の長さをより詳細に調べる為、用いる時間間隔の長さの段階数を増やして実験を行った。30-600 msの時間範囲において9段階の時間間隔の長さを用いて、充実時間と空虚時間の主観的な長さを測定したところ、物理的な時間間隔の約100 msを境に時間間隔知覚の不一致現象の生じ方が変わることが明らかとなった。充実時間の場合は、時間範囲全体を通して、時間間隔の物理的な長さの増加とともに主観的な長さが増加し、それらの間に直線関係が認められた。一方、空虚時間の場合は、時間間隔の物理的な長さが約100 msを超えると、時間間隔の物理的な長さが増加したときの主観的な長さの増加の仕方が緩やかになった。これらのことは、前年度に行った実験の結果とよく一致しており、時間範囲による不一致現象の生じ方の違いの頑健性が確認できた。前年度の結果と併せて、時間範囲による充実時間と空虚時間の処理の違いについて考察を行い、この成果について国際学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、妊娠・出産のために研究を年度途中で中断したため、予定していた脳活動計測実験を行うことができなかった。心理実験に関しては、前年度に予定していた通りにデータの取得と分析を行うことができ、成果を国際学会で発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの心理実験により、時間範囲による時間間隔知覚の不一致現象の生じ方の違いを確認することができたため、今後は心理実験で用いた刺激のうちいくつかを選び、脳活動計測を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は、妊娠・出産のために研究を年度途中で中断したため、当初予定していた実験費用等を使用できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の実験費用や学会参加費及び前所属機関の研究者との研究打ち合わせ費用が必要となる。
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Research Products
(4 results)