2017 Fiscal Year Research-status Report
SRシステムによる時間錯誤を用いた時間認知知覚メカニズムに関する実験研究
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15K16014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
脇坂 崇平 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任研究員 (40513445)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ヴァーチャル・リアリティ / 時間知覚 / 錯覚 / デジャブ |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の研究は、(1)現実体験と仮想現実体験、コンピュータベースの映像体験を時間的空間的に不可分な形で混合し、(2)ある具体的な体験シナリオと組み合わせることにより(3)実験室内にて高頻度のデジャブ体験を被験者に生起させ、(4)心理物理データ等によりデジャブおよび時間知覚認知のメカニズムを調べる、というものである。 本年度の実績は以下の通り: ・各種体験映像の混合手法を抜本的に改良 機械学習アルゴリズム、とくに画像認識を導入することにより、体験コンテンツに応じて自動的かつアダプティブに映像体験の混合を行うことが可能となった。これにより本装置でのデジャブ生成率および強度が大幅に向上することが期待できる。これは、最終年度の被験者実験にて検証を行う予定である。 ・自作の基幹ソフトウェアの移植と改良を実施した。従来はopenFrameworks(c++)をベースとしていたが、新たなバージョンとして3Dゲーム・ソフト開発言語UNITYを用いた装置を作成した。これにより共同開発コストが大幅に低減した。また複数PC/ソフトウェア間でのビデオバッファシェアリング手法を導入した。これにより、例えば機械学習を用いた高負荷処理だけをGPUワークステーションに分散することが可能となった。 ・ハードウェアの全面的な移行を実施した。自作のHMDからwindows MR, HTC viveに移行した。これにより装置の量産が実現し、複数箇所での複数同時実験が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当該年度より所属研究機関が変わり、当初の想定以上の業務が発生したため予定どおりに進捗とはならず、そのため一年の延長申請を行った。 当該年度では、新たな被験者実験(予備実験を除く)を実施することができなかったが、上述のようにアルゴリズム、ソフトウェア、ハードウェアの全面的改良を行った。これは最終年度に行う被験者実験において必須の改良であり、後述するように視線計測装置の組み込みが終われば開発完了となる。最終年度まで実験が延びたため、進捗としては遅いといえるが、前年度に取得したデータで非自明な解析結果を得ているため、最終年度での実験解析を待たずとも成果発表までは少なくとも持っていける状況ではあるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度では、ライブ映像・記録映像・CG映像の混合手法に機械学習を用いた新しい手法を導入した。前年度の実験結果により、被験者の注意方向に応じた混合が可能であれば体験シナリオを大幅に、質的に改良できることが示唆されているため。第一四半期ではその改良を行う。具体的にはHMDに視線計測装置を組み込み、視線方向データを映像にフィードバックする。 このアルゴリズムを用いて最終的な被験者実験を行い、前年度実験の結果との比較解析、およびデジャブ・時間知覚に関する作業仮説の検証を行う。 結果は速やかにまとめ、学会誌への投稿発表、学会での発表を行う。
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Causes of Carryover |
当該年度では、研究環境の変化等により予定どおりの進捗で研究を実施することができなかった。そのため、一年間の延長を申請した。 ハードウェアの開発に経費ある程度発生したが、被験者への謝金および発表関連経費等の支出が予定よりも大幅に少なかった。 これらは最終年度に実施・支出する予定である。
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