2016 Fiscal Year Research-status Report
ユーザ調査に必要なコンピタンスの概念化とその習得支援ツールの開発
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15K16041
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
橋爪 絢子 首都大学東京, システムデザイン学部, 助教 (70634327)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 人間中心設計 / ユーザ調査 / 上流工程 / インタビュー / 定性的調査 / 行動観察 / 利用状況 / コンピタンス |
Outline of Annual Research Achievements |
人間中心設計による製品やサービスの開発を行う際には、その上流工程で、ユーザ調査の結果にもとづいて「利用状況の理解と明確化」を行うが、本格的なユーザ調査を実施できる専門家の絶対数が少なく、ユーザ調査が適切に実施されていない場合が多い。このことは、製品やサービスのユーザニーズへの不適合や開発の非効率化といった問題を生む。一方で、ユーザ調査の実践的スキル習得のための教育技術も未開発で、従事者に求められる能力、すなわちコンピタンスは明確になっていない。 本研究では、ユーザ調査の実践的スキル習得のための教育技術を発展させることを目的として、初学者が効率的に技能を身につけてユーザ調査を適切に実施できるようになるための支援ツールを開発する。また、その過程において、ユーザ調査の従事者に求められるコンピタンスを明らかにする。 平成27年度には、ユーザ調査の実施における初学者の課題の明確化を目的とした初学者のユーザ調査遂行場面の観察を実施した。様々な経験レベルの従事者によるユーザ調査の実施場面の観察から、各事例における問題点をあげ、調査の各段階における作業とその遂行に必要なコンピタンスを抽出した。さらに、人間中心設計におけるユーザ調査や定性的調査手法において豊富な調査実施経験とその教育経験を持つ、国内外の有識者を対象としたインタビューを行い、抽出したコンピタンスの妥当性を検証した。 平成28年度には、前年度に明らかにした調査の各段階における作業内容とその従事者に求められるコンピタンスについて、それぞれの重要度を評価し、分類した。また、国内外の有識者と議論しながら、その教育方法の検討を行い、ユーザ調査の従事者に求められる各コンピタンスを「座学で教育可能なもの」と「実査経験を要するもの」、「資質」の3つに分類した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度に予定していた計画を実行した。
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Strategy for Future Research Activity |
ユーザ調査の従事者に求められるコンピタンスうち、「座学で教育可能なもの」について、その内容をオンライン等で学べる形式の教材コンテンツとしてまとめ、初学者の学習の支援のためのツールとして提供する。また、ユーザ調査の従事者に求められるコンピタンスうち、「実査経験を要するもの」については、初学者のユーザ調査の実施を指導する立場の者が使用できるチェックリストとしてまとめる。 これらのツールを、協力企業内にて、ユーザ調査の初学者用の教育プログラムとして試験運用し、ツールの評価と修正を行いながら、ユーザ調査に必要なコンピタンスを習得するための支援ツールとして完成させる。
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