2015 Fiscal Year Research-status Report
遠赤外線画像を用いた複数ユーザの非接触型同時呼吸計測法の検討
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15K16042
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
塙 大 名古屋市立大学, 芸術工学研究科(研究院), 准教授 (50422506)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 呼吸計測 / 非接触計測 / 遠赤外線画像 |
Outline of Annual Research Achievements |
遠赤外線画像を用いた複数ユーザの呼吸計測法の実現に向けて,本年度は,申請者らによる従来の手法を改良した新たな手法の考案と評価を行った. はじめに,遠赤外線画像を用いた呼吸状態の推定方法について検討した.具体的には,ユーザが鼻呼吸もしくは口呼吸を行う際の呼吸の流速には,無呼吸,通常呼気,強呼気,通常吸気,強吸気の5種類の状態があると仮定し,遠赤外線画像の連続フレームより計測した鼻腔もしくは口腔の温度変化を用いて,流速の状態を推定する手法を考案した.評価実験の結果,提案手法による推定精度は,鼻呼吸,口呼吸でそれぞれ約85%,約70%であることが確認された. 次に,上記(1)の手法を自動化するために必要不可欠な,遠赤外線画像上の鼻腔領域および口腔領域の抽出方法について検討した.具体的には,遠赤外線画像の連続フレームより,顕著な温度変化が見られる領域を候補として抽出し,候補領域の面積,形状,平均温度などを用いて鼻腔領域もしくは口腔領域を特定する手法を考案した.評価実験の結果,提案手法による検出精度は鼻腔領域,口腔領域でそれぞれ約78%,約62%であること,鼻部領域の検出については,頭部の回旋,側屈,後屈に対して一定の頑健性を有することが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鼻呼吸の計測については,流速状態の推定,および鼻部領域の検出について,いずれも比較的単純な手法を用いたにも関わらず,申請者らの従来手法の課題を概ね解決できたと考えられる.一方口呼吸の計測については,流速状態の推定精度と口腔領域の検出精度が鼻呼吸におけるそれらと比較してやや劣るものの,精度を向上させるための主な課題点を明確化できたと考えられる. 以上より,本研究課題の進捗状況は総合的に判断して,おおむね順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに考案した手法に複数ユーザの呼吸計測に応用するための基礎検討を行う.とりわけユーザの個人差への対応とキャリブレーション方法が重要な課題となることが予想されるため,精度が思わしくない場合は,これらへの対応を考慮した手法の改良を試みる.さらに適用可能なユーザ数,計測環境の条件などについても明確化を行う.
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Causes of Carryover |
今年度購入予定であった計測機器の一部を,連携研究者及び所属機関の協力により,本課題の直接経費を使用せずに準備することができた.また,実験補助作業の一部を無償で協力してもらうことができた.これらの理由により,今年度は当初の予定より経費が掛からない形で研究が遂行できたため,次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度に考案した手法について,RGB画像もしくは近赤外線画像との組み合わせについて検討する必要があることが示唆されたため,これらの手法の検討及び評価に必要な機器の購入,および評価実験の実施に必要な謝金に使用する予定である.
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