2016 Fiscal Year Research-status Report
プロダクト=サービス・ システムのための分散制約最適化技術の構築
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15K16056
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
波多野 大督 国立情報学研究所, ビッグデータ数理国際研究センター, 特任研究員 (10709728)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 分散制約最適化 / マルチエージェント / 動的制約最適化 / ゲーム理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度の主な研究成果として,協力ゲームの一つの問題である利得配分問題の解析を行った.プロダクト=サービス・システムを運用する上で問題となる点が,サービスの利用者間でどのように費用を分配すれば,そのサービスが持続的になるかという点である. この問題に対して,本研究では,利得配分問題として定式化し問題の性質を解析した.利得配分問題は,複数人で何かを共有するときにどのように利得,もしくは費用,を分配すれば,協力関係が築かれるかを分析するためのゲームである.利得配分問題は,プレイヤーの集合とプレイヤーの部分集合に対して利得を返す特徴関数から構成される.問題の目的の一つは,コアと呼ばれる,プレイヤーへの利得の配分を見つけることである.ある利得配分がどのプレイヤーの部分集合に対する利得に対しても値が大きくなっているときにその配分をコアと呼ぶ.コアはどの問題にも必ず存在しているというわけではないため,その問題にコアが存在するか否かを判定する必要がある.一般的にコアの存在性判定問題はNP完全であることが知られている.一方で,特徴関数が優モジュラ性を満たすとき,その問題には必ずコアが存在することが知られている. そこで,本研究では,利得配分問題の特徴関数が優モジュラ関数を満たすような問題に対して,コアの中でもよりタイトな解概念である強最小コアと弱最小コアに関する解析を行った.また,2つの最小コアの値が統一的な手法により簡潔な式で表現できるようになったため,よりよい協力関係を築くためには問題のどのパラメータを調整すれば良いかが直感的に理解できるようになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度では,プロダクト=サービス・システムで発生する費用配分という観点から問題を定式化し,その解析を行った.その結果は国際会議に採択されており,おおむね順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度では,これまでに提案したアルゴリズムを評価するために,実データを用いた実験を行う予定である.
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Causes of Carryover |
本テーマで扱う問題の1つとして,協力ゲームの費用配分問題がある.当初は,主にこの問題を扱うためのアルゴリズム開発を予定していたが,その関連問題である提携構造形成問題に関しても同様の知識を使うことにより解決できることが判明した.そのため、提携構造形成問題に関する研究はまだ論文を投稿する前段階であるため,来年度の学会参加や論文投稿にその研究費を充てる必要がある.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
提携構造形成問題に関する書籍の購入費用と情報収集のための学会参加や論文投稿に研究費を充てる予定である.
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Research Products
(3 results)