2015 Fiscal Year Research-status Report
動的環境におけるレジリエントな提携構造形成アルゴリズムの開発
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15K16058
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
上田 俊 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 学術研究員 (40733762)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マッチング理論 / 協力ゲーム理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
動的に変化する環境での提携形成アルゴリズムに関して,平成27年度は主にマッチング理論に関する研究を行った.マッチング理論では,プレイヤー (参加者,エージェント) が男性/女性,学生/学校,医者/病院,労働者/企業などのように2種類の異なるグループに分かれ,それぞれを如何に割り当てるかを考察している.この問題は,作ることのできる提携が限定されている状況での提携形成と考えることができ,プレイヤーが学生/学校であれば学校選択制,研修医/病院であれば研修医マッチング制度などの,社会的に重要な問題・制度に適用可能な問題である. マッチング理論における動的な問題として,割当の再配置が考えられる.学生/学校のマッチングを例にすると,初期割当が存在し,学生の選好が変化した場合に,変化した選好に対応するように新たな割当を求めるアルゴリズムを考察した.このとき,得られた割当において,初期割当より悪くなっている学生がいてはいけない.また,学校には満たすべき上限・下限制約が存在し,その範囲で適切な割当を求める必要がある.この問題は,指定校として学生の選好とは無関係に初期割当が決まっている,日本の学校選択制にも適用が可能である. この問題に対して,既存のアルゴリズムであるDeferred AcceptanceおよびTop Trading Cyclesを拡張したアルゴリズムを開発し,提案アルゴリズムが上記の条件を満たすとともに,戦略的操作不可能性やある種の安定性を満たすことを示した.この成果は,人工知能に関するトップ国際会議である15th International Conference on Autonomous Agents and Multiagent Systemsにフル・ショートそれぞれ1本の論文が採択されている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
提携形成を扱う協力ゲーム理論では,利得の譲渡が可能か不可能かで問題が大別される.当初は利得の譲渡が可能な,より一般の場合を考察する予定であったが,平成27年度は対象とする問題を限定し,利得の譲渡が不可能であり,より限定された問題であるマッチング理論に関する研究を行うことに変更した.当初の予定通りではないが,マッチング問題での動的な提携形成に関して,一定の成果を得た.
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Strategy for Future Research Activity |
まずは,マッチング理論以外の,利得が譲渡不可能な場合の協力ゲームにおける提携形成を考察する.このときには,ゲームの構造が比較的単純なものから順に,より一般的な問題に取り組む予定である.
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Research Products
(2 results)