2016 Fiscal Year Research-status Report
振動子ネットワーク:生命現象の理解と予測を目指したモデリングと理論枠組みの構築
Project/Area Number |
15K16062
|
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
郡 宏 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (80435974)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 同期現象 / 概日リズム / ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の項目(A)では体内時計や脳に見られる振動現象に関する理論的課題に取り組んでいる.27年度には,時差ボケ現象を説明するためのモデル構築を行った.このモデルを用いると,日本からアメリカ西海岸などといった東向きの長距離旅行旅行に対応する8時間の時差を与えるときに,その前日に4時間の時差を先行して与えることにより,時差ボケから回復が早まることが予測された.実験研究者と協働でこの理論的予測の実験検証結果を解析し,理論的に予測した方法が時差ボケの解消時間が有意に短くなることを実証することができた.この結果について論文を投稿し,国際学術誌であるScientifc Reportsでの掲載が決定した.現在は,さらに,このモデルを用いて時間シフト労働者のスケジュール提案手法を検討している.そのため,モデルのパラメータを各個人の特性に合わせるパラメータ推定方法が必要になる.また,本研究の項目(C)では特定の機能を最適化する振動子ネットワークのネットワーク構造の探求に取り組んでいる.ゆらぎの強度が不均一な振動子集団において,同期度をネットワーク構造から求まるラプラス行列の固有値・固有ベクトルと関係づけることに成功した.これにより,最適ネットワーク構造を求めることができた.得られた結果は容易に解釈しづらいものである.信頼できる振動子をネットワーク上のどこに置くべきかについての設計原理を提案できる理論である.現在,投稿準備中である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文がアクセプトされた.
|
Strategy for Future Research Activity |
成果は順調に出ており,論文執筆に注力したい.
|
Causes of Carryover |
現在使用している計算機の能力,耐久性を考えたときに購入を次年度以降に遅らせたほうが良いと判断した.また,学生の研究補助者を雇用するはずだったが適当な人材がいなかった.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
計算機の購入と研究補助者の雇用に使用する.
|
Research Products
(1 results)