2018 Fiscal Year Annual Research Report
Oscillator networks: modeling of biological systems and analysis
Project/Area Number |
15K16062
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
郡 宏 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (80435974)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 同期現象 / 複雑ネットワーク / 体内時計 / 分岐 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では体内時計や脳にみられる振動現象に関する理論的課題に取り組んできた。
まず30年度の成果についてまとめる。28年度にPNAS誌より、分子時計が低温条件下で停止することを報告したが、分子レベルのダイナミクスのモデリングをさらに検討した。マクロレベルではHopf分岐で振動が消滅することが実験によって判明した。分子レベルではリン酸化リズムの脱同期がその背後にあることが示唆されているのが、その過程を記述した数理モデルの解析により、脱同期の程度が大きくなるにつれて振動の正確性が急激に低下することがわかった。分子間コミュニケーションの重要な役割を明らかにした結果である。この成果は国際会議Gordon Research Conferenceで発表した。また、ゆらぎ強度が不均一な振動子集団において、同期度を ネットワーク構造から求まるラプラス行列の固有値・固有ベクトル関係づける理論をすでに構築していたが、いくつかの興味深い例を考え、また、大規模なネットワークに適用した。この結果は現在投稿中である。
研究期間全体を通して総括する。本研究の目的は生物リズムの複雑なダイナミクスや機能の理解に貢献することであった。概日リズムのモデリングと解析を通して、時差ボケ時に見られる複雑な適応過程の解明に本質的な貢献をできたと考えている。また、複雑ネットワークにおける同期のゆらぎに対するロバスト性を評価する理論枠組みを作ることができ、これは工学的応用につながる成果だと考えられる。
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Research Products
(3 results)