2015 Fiscal Year Research-status Report
テンソルネットワークのモデル選択と分散処理的ビッグデータ解析への応用
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15K16067
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
横田 達也 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80733964)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | テンソル分解 / モデル選択 / 多重線形ランク / 平滑制約 / 低ランク |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,社会環境の変化に伴って蓄積されるデータは多様化・大規模化しており,そのようなデータに対応したデータ解析の新しい枠組みが必要とされている.テンソルデータ解析の研究では,ベクトルや行列を拡張(一般化)したn次元配列(テンソル)を考える.テンソルデータ解析は,データ構造の多様化を解決するための一つのアプローチとして現在盛んに研究されている.本年度は,主に(1)平滑制約を課したテンソル解析モデルのモデル選択およびテンソル補完問題への応用と(2)高階特異値分解を用いたテンソル多重線形ランクのロバストな高速推定法の研究を行った. データの平滑性(連続性)は,自然画像,動画像,時系列信号などさまざまな対象に適用できる概念である.スパース(疎)な性質が近年盛んに研究されているが,平滑性もそれと同様に重要な性質である.本研究では,与えられたテンソルデータが平滑かつ低ランクなモデルで表現可能であるという仮定のもとで損失要素を補完する問題に取り組んだ.貪欲アプローチを導入したテンソルのランク推定(モデル選択)を平滑テンソル分解モデルに適用することよって,従来の低ランクのみの手法と比べて大幅な補完性能の改善に成功した. ノイズを含むn階テンソルの多重線形ランク推定では,多重線形ランクの組み合わせの数がnに対して指数関数のオーダーで増加するため,網羅的な探索アルゴリズムでは限界がある.そこで一方向のみの低ランク性に注目した行列展開を通して,多重線形ランクの各成分を個々に求めるアプローチが考えられたが,注目するランク以外の低ランク性を仮定できていないための誤差が問題となっていた.本研究では,誤差の問題を解決する新しい理論の構築と高速アルゴリズムの開発を行い,最先端のアルゴリズムとの比較実験により,新手法の有効性を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目的は「テンソルネットワークモデル」のモデル選択について研究することであるが,本年度はその足がかりとして、「テンソル分解モデル」のモデル選択について研究を深めることができた.本研究では,大規模データを想定しているため,高速アルゴリズムとして実装しやすい「貪欲法」および「行列展開に基づくアプローチ」に着目して研究を進めた.研究業績としては,3件の研究成果を国際会議で発表し,2件の論文を国際論文誌へ提出した.研究を進めるうえで当初の計画を少し修正したが,研究成果は順調に出ており,プロジェクト自体は順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
28年度は,テンソルネットワークモデルのモデル選択について研究を進める.階層的タッカー分解,テンソルトレイン分解など,さまざまな分解モデルが考えられる.これらのモデルに対して27年度に研究した「貪欲法」および「行列展開に基づくアプローチ」の両者を適用するための理論構築および高速アルゴリズムの開発を行う.
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Causes of Carryover |
当初の予定額よりも安価で備品,航空券およびその他サービス等を手配することができたため次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
大規模データの演算に必要な環境を整えるためのハードウェアおよびソフトウェアの手配.学会発表や情報収集のための旅費.論文を海外の論文誌にて発表するための英文校正などに使用する.
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Research Products
(4 results)