2016 Fiscal Year Research-status Report
テンソルネットワークのモデル選択と分散処理的ビッグデータ解析への応用
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15K16067
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
横田 達也 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80733964)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | テンソル最適化 / 核ノルム / 全変動 / 凸最適化 / 近接分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究では、制約付きテンソル最適化モデルに着目して研究を進めた。特に、低ランク制約を分解モデルとして定義するのではなく、核ノルム最小化によって自動的にランクを求める場合について集中的に時間を割いた。核ノルム最小化によって低ランクテンソルを求める場合、最適化問題が凸最適化問題となる点が分解モデルを用いる場合と大きく異なる。また、ノイズを含むような場合は、核ノルム最小化というよりも、核ノルム正則化という問題を考えなければならない。これには一般にノイズ分散を考慮した不等式制約を加えることができるが、これまで提案されてきたアルゴリズムでは不等式制約を満たす最適解を一度の最適化アルゴリズムで求めることができなかった。 本研究では、不等式制約に関係する新しい近接写像を定義し、これを近年盛んに応用されている交互方向係数法や主双対分離法などの係数分離型のアルゴリズムと組み合わせて、一発で最適解を求めることを可能にした。さらに全変動ノルム正則化の枠組みを加えた新しいテンソル最適化モデルを提案した。これも同様のアルゴリズムを適用することによって、一発で不等式制約を満たす最適解を求めることができる。 計算機実験により、画像、動画像、核磁気共鳴画像(MRI)などさまざまなデータへの応用を行い、その有効性を示した。その際、核ノルム正則化と全変動正則化のバランスを調節することによってどのような変化が起こるかを詳細に調べた。また、最適化アルゴリズムに用いるステップサイズなどのパラメータについても有効な数値を詳細に調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、昨年度研究成果のまとめとして、2本の論文が国際論文誌で出版され、それに加えて1本の論文が来年開催される世界トップレベルの国際学会に採録された。研究の方向性として多少の軌道修正はあったが、上記の通り良いペースで研究発表を行えていることから、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、テンソル分解モデル、最適化手法(凸最適化、多様体最適化)等のこれまでの研究を土台として、大規模なデータに対して有効なテンソル分解のアルゴリズムについて研究を進める。特に動画像、MRI、機能的MRIの解析のように、高階なテンソルを扱うことの需要が高い応用分野において有効なモデルについて研究する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた物品や必要な航空券が比較的安価に購入できたため繰越額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
高性能計算機などの物品購入、学会参加や発表に関わる旅費、その他論文校正や出版料などへ使用する。
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