2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K16078
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
江村 伯夫 金沢工業大学, 情報フロンティア学部, 講師 (80590174)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 音楽的期待感 / テンション和音 / プライミング効果 / 反応時間 / 正答率 / 音楽理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,テンション和音聴取時に惹起される次の和音に対する音楽的期待感を,協和・不協和判断課題遂行中の反応時間や正答率,聴覚誘発脳磁界反応のデータによってどのように説明し得るかを明らかにするとともに,これらの結果と音楽理論に記載されているテンション和音構築に関する方法論との関係について論じるものである. これらの目的を達成するため,次の2つの実験を計画している.1つ目(実験1)は,経時的に連続する2つの和音で構成される刺激を対象とした実験であり,これによって,和音聴取時における最も単純なモデルとして,単一の和音によって惹起される音楽的期待感について調査する.2つ目(実験2)は,先行和音を複数の和音で構成される和音列に置き換えた実験を実施することにより,音楽的文脈が音楽的期待感に及ぼす影響を調査する. 昨年度は,実験1の再実験および実験2を実施し,両者のデータから,協和・不協和判断課題遂行時における聴覚誘発脳磁界反応N1mのピーク振幅と反応時間・正答率との間に相関が見られ,またそれが音楽的文脈によってやや強くなる傾向が示唆された.しかしながら,この結果は統計的議論に耐え得るものではなかったため,実験刺激や実験方法の改善,および実験参加者の追加などを検討する必要があった. 本年度は,実験刺激と実験方法の改善を目的とし,十分な実験参加者を対象に心理実験を繰り返し行った.結果,音楽的期待感には,和声によって惹起される期待感(調性的期待感)の他に,和音の生起時間間隔によって惹起される期待感(律動的期待感)の2つの存在が示唆され,昨年度の実験によるデータのバラつきは,このことに起因するものと結論付けることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
次の2点が主な理由である.一つは,本年度は昨年度の実験によるデータのバラつきの要因について調査するため,実験刺激や実験方法の改善を目的とした実験に注力したためである.その結果,音楽的期待感には調性的期待感と律動的期待感の2つの側面が含まれることを明らかにした. 2つ目は,和音列の聴取実験に用いるDAコンバータおよび得られた実験の解析に用いるコンピュータの動作不良によって実験そのものが大幅に遅延したためである. これらによって,当初予定していた学会発表や論文投稿にも遅れが生じた.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の実験により,これまでの実験におけるデータのバラつきの要因が明らかとなったため,次年度は,改善した実験刺激を用いて早急に実験2を実施し,その成果を学会で発表するとともに,論文を学術雑誌に投稿する予定ある.
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Causes of Carryover |
(理由) 和音列の聴取実験に用いるDAコンバータおよび得られた実験データの解析に用いるコンピュータの動作不良によって実験が当初の計画から大幅に遅延しており,これに伴って発表を予定していた学会や論文投稿にも遅れが生じてしまったため. (使用計画) 動作不良の機器の修理・代替品の購入費や予定していた学会発表および論文の投稿費用に使用する予定である.
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Research Products
(4 results)