2016 Fiscal Year Research-status Report
OSAS検出のための呼吸推定に特化した心電図誘導法に関する研究
Project/Area Number |
15K16085
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Research Institution | Chiba University of Commerce |
Principal Investigator |
酒井 元気 千葉商科大学, 政策情報学部, 講師 (50597094)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 心電図による呼吸推定 / 新しい心電図誘導法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、気流センサーやいびきセンサー、脳波センサー等の多くのセンサーを用いることなく、ホルター心電図のみを用いて簡単にかつ精度よく呼吸を推定することであった。成果が得られれば、重度の場合は生命の危機にもつながる疾患である脳梗塞や心筋梗塞なども引き起こす疾患睡眠時無呼吸症候群(Obstructive Sleep Apnea Syndrome: OSAS)の早期発見早期治療にも貢献できるものである。 研究費を得る以前の研究では、胸郭下部に取り付けられた心電図からある程度精度よく呼吸が推定できていたため、本課題では、更にそれを詳細に調べるために、胸郭下部に多くの電極を配置し、更に、既存のホルター心電図誘導法と呼吸推定精度を比較することでこれまで以上に呼吸推定に適した心電図誘導法を検討することにした。具体的には、CM5などの既存の心電図誘導法6パターンと今回新たに考案した12パターンの心電図誘導法で心電図を計測し、その時被験者には通常呼吸、深呼吸、努力呼吸などのタスクを行わせ、計測されたデータから呼吸を推定することで、どの誘導法が優れているか比較検討をする作業を行った。被験者は、男女含めて70名程度である。そのなかから、データの質がよいもの(ノイズ等が少ないもの)約50名分のデータで、評価を行い、論文にまとめた。平成29年5月現在、その論文は査読中である。 現在は論文の査読中ではあるが、今年度の実験で胸郭下部付近でどのように電極を配置すれば高精度で呼吸が推定できるか分かってきたため、平成29年度も本課題を継続し、更に精度よく呼吸を推定できる心電図電極を探ってゆく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本科研費は、平成27年に東京電機大学情報環境学部時代に取得したものである。それから、所属機関が2度変わることとなり、そのつど研究の環境が変わってしまったため、当初の予定と比べると研究の進捗が遅れているのが現状である。具体的には、考えていたペースより1年弱遅れている、といった状況である。平成28年度に達成した研究内容は、本来は平成27年度中には完了すべき内容であったが、先の理由で計画が延びてしまった。 しかしながら、その内容自体は当初想定していた結果が概ね得られていると言え、研究期間の延長が認められたことで目標に到達できるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は平成28年度に実施予定であった内容を行う。 これまでの研究で明らかになった呼吸推定に適した心電図誘導法から何故その誘導法が有効であるかを医学的、信号処理的観点から明らかにし、更に呼吸推定の精度が向上すると考えられる心電図誘導法を検討する。また、従来の研究で有効と考えられてきた測定手法との比較を行う。また、被験者の人数を確保することで、心電図誘導法の信頼性を高めてゆく予定である。
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Causes of Carryover |
先に述べた通り、所属機関異動により、平成27年度は研究を進めることができなかったため、27年度の研究費は28年度に使用するかたちになった。そのため、28年度の研究は、実質27年度の研究費を中心に進めることとなった。結果、28年度の研究費は次年度使用の予算として扱うこととなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度には約50名~70名の被験者で呼吸推定の心電図、呼吸計測実験を行う予定である。それに伴い、呼吸センサーや心電図電極等を購入する予定であるし、また、実験協力者、被験者に対しては謝金を払う予定である。
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