2015 Fiscal Year Research-status Report
カーネル密度関数の局所変形による汎用的イメージアライメント法の開発
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15K16087
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
徳永 旭将 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (50614806)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 非剛体イメージレジアライメント / EMアルゴリズム / データ欠損 / 位置合わせ / バイオイメージインフォマティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、2次元および3次元の生物画像を想定した、汎用的なイメージアライメント法の開発を行っている。提案手法の基本的なアイディアは、カーネル密度変換により画像を連続な関数で近似することで、従来はデジタルな画像空間で行っていた位置合わせの問題を連続関数の最適化で定式化することである。さらに、自然なアライメントを実現するための拘束条件として、マルコフ確率場に基づく変形モデルを導入することである。本年度までに、2次元の生物画像を想定したアルゴリズムのプロトタイプを実装することができた。最適化のアルゴリズムとしては、当初の予定どおりEMアルゴリズムを用いている。EMアルゴリズムは収束は遅いものの、対数尤度を単調に増加させるため、既存のアライメント手法よりロバストな最適化プロセスを実現できる。2次元生物画像を用いたベンチマークテストでは、アライメント精度という点では、既存手法と同等かそれ以上の性能を実現できた。しかし、画像に欠損がある場合については、これも既存手法と同程度に精度の劣化が生じることがわかった。研究計画立案の時点では、コスト関数に体積保存などの正則化項を加えることで回避できると考えていたが、いまのところ決め手となる正則化法に到達できていない。計算速度は、1次収束であるEMアルゴリズムを用いているため元来収束が遅い仕様になっていた。しかし、変換したカーネル密度関数から確率密度に比例して一定数のピクセルをランダムサンプリングすることで、通常のEMアルゴリズムによる解法よりも大幅に計算コストを改善することができた。EMアルゴリズムが対数尤度を必ず単調に増加させることを考えると、最適化プロセスのロバストネスと収束速度をうまく両立させることができたと評価できる。一方で、最終年度で取り組む計画である3次元の生物画像に対しては、計算速度の向上にさらなる工夫が求められると予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度までに得られた成果として、アルゴリズムのプロトタイプを実装し、27年度下期の研究目標であった2次元の生物画像に対するベンチマークテストを実施する段階まで進めることができた。しかし、画像データに欠損や不明瞭な領域がある場合については、想定されていた精度の劣化が起こることがわかった。これを回避するための正則化法を検討したが、既存手法を大きく上回るようなパフォーマンスを達成することはできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のように、画像データに欠損や不明瞭な領域がある場合には、アライメントが正常に機能しない場合がある。それを回避するための正則化を検討しているが、決め手になる方法で辿り着いていない。しかしながら、本研究を遂行する上で、正則化を工夫するより、欠損している領域(あるいは細胞など)を、実際には存在しないダミーオブジェクトで補完する方法を導入することで、根本的な解決につながるのではないかという着想を得た。それを実現するためには、一方の画像に欠損している領域がある場合に、自然なアライメントを実現するためのダミーオブジェクトの最適な配置を求める問題を解かなければならない。より具体的なアイディアとしては、ダミーオブジェクトの形状や配置位置を確率的に変化させ、結果的に自然なアライメントができるかどうかを尤度として評価する。その際、ダミーオブジェクトの個数をどのように決めるかという問題があるが、例えば、Reversible Jump MCMCのように、事後分布の次元を可変にしたサンプリングアルゴリズムを用いることで解決できると考えられる。ここで、厳密にはサンプリングを行う度に(尤度を計算する度に)アライメントの問題を解くことになるが、それでは計算コストがかかり過ぎてしまう。そこで、オプティカルフローのような線形計画問題あるいは2次計画問題で代用できる特徴を抽出し、自然なアライメントを実現できるかどうかの指標とする。データ欠損がある場合のダミーオブジェクトの最適配置を問題を解く手法を構築できれば、本研究で扱うアライメント問題のみならず、多細胞トラッキングや、細胞分裂の自動検出など、バイオイメージ解析で幅広く応用できる基礎技術が構築できると期待できる。
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Causes of Carryover |
成果を発表する上で使用する数式編集ソフトウェアを購入予定であったが、会計の事務的な手違いにより会計処理の期日までに発注を終えることが難しい事態が生じた。ただ、同ソフトウェアの試用版が、期間限定(1ヶ月)で無償で使用可能であったため、購入は次年度に持ち越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
購入予定でった数式編集ソフトウェアを予定通り購入し、それ以外の次年度の予算についても予定通り使用する予定である。
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[Presentation] Intrinsic graph structure estimation from whole-brain imaging data of C. elegans2015
Author(s)
Hiromu Sakuma, Takayuki Teramoto, Sayuri Kuge, Terumasa Tokunaga, Osamu Hirose, Yu Toyoshima, Yuichi Iino, Ryo Yoshida, Takeshi Ishihara, Yuishi Iwasaki
Organizer
International Conference on Systems Biology 2015
Place of Presentation
Biopolis, Singapore
Year and Date
2015-11-23 – 2015-11-26
Int'l Joint Research
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[Presentation] 空間粒子フィルタによる多数の細胞の同時追跡2015
Author(s)
広瀬 修, 川口 翔太郎, 徳永 旭将, 豊島 有, 寺本 孝之, 久下 小百合, 石原 健, 飯野 雄一, 吉田 亮
Organizer
第21回IBISML研究会
Place of Presentation
沖縄科学技術大学院大学
Year and Date
2015-06-23 – 2015-06-25
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[Presentation] 空間粒子フィルタによる多細胞追跡2015
Author(s)
広瀬 修, 徳永 旭将, 豊島 有, 寺本 孝行, 久下 小百合, 石原 健, 飯野 雄一, 吉田 亮
Organizer
バイオイメージインフォマティクスワークショップ2015
Place of Presentation
九州大学病院キャンパス
Year and Date
2015-06-18 – 2015-06-19
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[Presentation] 3次元的に密集した細胞核の高精度な自動認識手法2015
Author(s)
豊島 有, 徳永 旭将, 広瀬 修, 寺本 孝行, 張 文瑄, 久下 小百合, 石原 健, 吉田 亮, 飯野 雄一
Organizer
バイオイメージインフォマティクスワークショップ2015
Place of Presentation
九州大学病院キャンパス
Year and Date
2015-06-18 – 2015-06-19