2015 Fiscal Year Research-status Report
例示データを用いた実時間皮膚変形アニメーション計算モデルの学習
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15K16110
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
向井 智彦 東海大学, 情報通信学部, 講師 (10432296)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | コンピュータグラフィックス / アニメーション / スキニング / リギング / 補助骨 |
Outline of Annual Research Achievements |
実時間計算可能な皮膚変形モデルを例示データから学習するアルゴリズムの開発にあたって、平成28年度は、1. 二次計画法を用いた補助骨姿勢最適化アルゴリズムの開発、および、2. 補助骨制御モデルの学習アルゴリズムの開発に取り組んだ。1. については、まず例示データの皮膚形状の精確な再現を目的関数とし、例示データの骨格姿勢を制約条件として加えた、補助骨の配置および軌道を自由変数とするような制約付き最適化問題によって問題を定式化した。その上で、既存研究で提案されている反復的二次計画法を用いたアルゴリズムの処理手順を変更し、補助骨に特有の制約条件を導入した二次計画問題を解く方法を提案した。さらに、演算を並列化することで大幅な高速化にも成功した。一方、2. については、1.のアルゴリズムによって推定された補助骨の軌道を、単純な数学モデルで近似する学習アルゴリズムを開発した。具体的には、圧縮センシングの分野で提案されているLASSOアルゴリズムを応用した重回帰モデルを構築した。その結果、高速な演算が可能としつつ、かつ例示データに類似した高品質な皮膚変形を与える補助骨制御器を実現している。その有用性については、複数種類のデータに対する実験を通じて、実用化に十分に足る性能を持つことを確認している。以上の研究成果は、情報処理学会論文誌にて報告しており、同学会誌の特選論文に選定されている。さらに、同研究に対しては同学会より山下記念研究賞が授与されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当年度に計画していた技術群は全て開発を完了している。研究遂行の過程で表面化した技術的課題も当初想定の範囲内であり、すでに対策を施しているか、今後の研究遂行においても問題ないことを確認している。学会等での研究成果報告も順調に行っており、複数の表彰がなされている。また、すでに平成29年度の研究計画の一部、特に動的な皮膚変形の再現技術に関する事前実験を通じて、基本アルゴリズムおよびシステムへ実装方法に関する着想も得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画に沿って、物理的な二次動作にともなう皮膚変形の再現アルゴリズムの開発、および補助骨の多重解像度制御による高速化アルゴリズムに取り組む予定である。当年度実施した事前実験の結果を踏まえ、特に大きな問題は生じないことを見込んでいる。
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Causes of Carryover |
当初計上していた国内出張件数が少なかったため、わずかな残額が生じている。単体予算としての有効な使途がなかったため、次年度への繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の国際会議参加費に充てる。
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