2017 Fiscal Year Annual Research Report
Paleoclimate reconstruction on seasonal scale using tropical tree-ring
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15K16114
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡邊 裕美子 京都大学, 理学研究科, 助教 (20509939)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 樹木年輪 / 同位体 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度と次年度の研究では、インドネシア産チーク試料について年輪構成要素(年輪幅・酸素同位体比)を計測する手法を確立した。さらに、ジャワ島の複数の地域においてチーク試料を分析することにより、その空間的な同調性を検証した。本年度は、年輪データを追加し、気象要素との詳細な相関解析や、年輪セルロース酸素同位体比モデル(プロキシシステムモデル)による解析を行うことにより、チーク年輪のセルロース酸素同位体比を決める環境因子を特定することを目指した。 結果①: ジャワ島広域のチーク10個体について、年輪セルロース酸素同位体比と気候要素との相関解析を行った結果、成長期直前乾季の降水量と正の相関を示し、成長期である雨季の降水量と負の相関を示した。これらの結果はSchollaen et al. (2013) と整合的であり、雨季の降水量との逆相関は、降水の “ 雨量効果 ” による影響を反映している可能性が高い。また、成長期直前乾季の降水量との正相関は、直前乾季に多雨(少雨)である場合、肥大成長量が大きく(小さく)、乾季の降雨あるいは土壌水の高い酸素同位体比を取り込む(取り込みづらい)効果を反映していると考えらえる。これらの研究成果をとりまとめて、国際学術雑誌に投稿した。 結果②: プロキシステムモデルによる解析では、根から給水した水(起源水)の酸素同位体比、相対湿度、大気水蒸気の酸素同位体比の3つの要因により、チークのセルロース酸素同位体比の絶対値を合理的に再現することができた。さらに、前述の要因のうち、起源水の酸素同位体比が主要因であり、その変動のみでセルロース酸素同位体比の経年変動をほぼ説明できることを明らかにした。
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