2015 Fiscal Year Research-status Report
化学輸送・気象カップルモデル開発とオゾン・PM2.5生成への影響評価と実態解明
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15K16116
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
原 由香里 九州大学, 応用力学研究所, 助教 (30462493)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 東アジア / エアロゾル / ダスト / 混合 / 気象ーエアロゾルカップルモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
数時間から数日の短い時間スケールの気象~大気汚染物質の相互フィードバック効果の再現が可能な次世代領域化学輸送・気象カップルモデルの開発を行い、光化学オゾン及びPM2.5を含むエアロゾル予測の高度化を行うため、領域化学輸送モデル(CMAQ)にダストモジュールの追加を行い、ダストの飛散に重要となる地表面データ(積雪データ、土地利用データ)及び気象モデルから得られる土壌水分データの読み込みモジュールを追加した。大気汚染物質の排出量として、月変動を考慮したエミッションインベントリ(REAS2)をコンパイルし、2015年東アジア域を対象とした数値実験を行い、領域化学輸送モデルから予測されるダストを含むエアロゾル成分と、福岡におけるエアロゾル地上観測値(硫酸塩、硝酸塩、PM10, PM2.5)、国立環境研究所が展開する地上ライダーデータなどとの比較を行った。長期的なシミュレーションから、ダストの定量的な再現性の問題が確認され、ダストモジュールの改良が必要であることが明らかとなった。 一方、地上ライダーと数値モデルとの統合的な解析から、福岡におけるエアロゾル観測の特徴として、大気汚染とダストが混在した「汚れた黄砂」が冬季から春季にかけ多く観測されていることが明らかとなった。ダストが存在している際に粗大硝酸塩の濃度上昇が確認され、微小・粗大エアロゾルの再現精度の向上にダストモジュールの改良が重要であることが示唆された。今後はダストモジュールを中心としたエアロゾルモジュールの改良と、気象モデルとのカップル実験を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ダストモジュールの季節性・定量性に問題があり、改良が必要であるため。また、ダスト表面における硝酸塩の吸着過程のモデル化が微小・粗大エアロゾルの再現性向上に必要であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
エアロゾルモジュール改良ののち、気象ーエアロゾルカップルモデルの開発・数値実験を行い、開発したカップルモデルの基礎的検証として、エアロゾル成分、オゾン、気象要素(日射量・気温・風向風速・相対湿度・降水量など)の精度検証を行う。
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