2015 Fiscal Year Research-status Report
土壌炭素の温暖化応答に及ぼすプライミング効果の定量的評価
Project/Area Number |
15K16118
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
飯村 康夫 滋賀県立大学, 環境科学部, 助教 (80599093)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 土壌炭素 / 地球温暖化 / δ13C / プライミング効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
土壌炭素の温暖化応答メカニズムの解明に向けて、本研究では土壌への新鮮有機物の供給量変化に伴う土壌炭素分解促進反応(プライミング効果)と温度環境の関係に着目している。火山灰土壌に対し、13C標識セルロースを添加し(土壌1kgあたりセルロース1gC)、15℃、25℃、35℃で2ヶ月間培養を試みた。その結果、培養2週間後まではプライミング効果による土壌由来の炭素放出量が温度が高い条件ほど高い関係が認められた(温度依存性)。しかし、培養2週間を過ぎたあたりから、25℃におけるプライミング効果が最も高くなり、土壌由来の炭素放出量が高まった。この傾向は培養2週間後~2ヶ月にかけて継続的に認められた。今後は、このようなプライミング効果と温度の関係について再評価を行うとともに、土壌炭素の主にどのような画分(質)が気質となっているのかを微生物実験も踏まえながら明らかにしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた13C標識セルロースを用いた火山灰土壌におけるプライミング効果と温度の関係について継時的に評価することができた。ただし、他の土壌も含め再評価をする必要はあると考えられる。よって、おおむね順調に展開していると考えられる。今後はこれらの課題も含め、より詳細に研究を実行していきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでとは異なる土壌試料を用いて、セルロースによるプライミング効果と温度環境の関係についてさらに明らかにしていきたいと考えている。また、土壌の温度依存性とプライミング効果の関係(プライミング効果の寄与)について定量的に評価していきたいと考えている。さらに、温度環境に応じたプライミング効果の発現程度とメカニズムの違いを特に微生物群集構造の違いなどに着目し明らかにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
当初使用予定だった13C標識セルロースについて計画量よりも少ない量で実験をおこなったため差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
再実験のための新たな13C標識セルロースの購入に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)