2015 Fiscal Year Research-status Report
逆遺伝学的アプローチによる疾患SNPの評価系の確立とその応用
Project/Area Number |
15K16123
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
柳原 啓見 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (50719474)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ゲノム編集 / SNP / NBS1 |
Outline of Annual Research Achievements |
全ゲノム解析により生活習慣病にも遺伝的要因があることがわかり、特に一塩基多型(SNP)が関連している事が明らかとなってきた。しかし、同定されたSNPを逆遺伝学的に検証する研究は立ち後れている。 本研究では、SNPの逆遺伝学的解析を推し進めるため、特定の一塩基変異をもつヒト疾患SNPモデル細胞の作製法を確立し、細胞の遺伝的背景を揃えた状態で疾患SNPの比較実験を行うことを目的としている。 既存の遺伝子変異導入法による一塩基改変効率は1%以下と非常に低く難しいことが大きな問題であったため、平成27年度は、より高効率で簡便な一塩基編集法を確立することを目標とした。さらに、ヒト高発がん性遺伝病ナイミーヘン症候群の原因遺伝子(NBS1)に一塩基編集を施したヒト疾患モデル細胞を作製することを計画した。 高効率な一塩基編集法の開発については、CRISPR/Cas9システムを用いた。点変異ドナーとして一本鎖オリゴDNA(ssODN)を共導入し、一時的な薬剤選択により編集細胞を濃縮させた。組換え体の検出には制限酵素サイトを利用し、目的クローンの同定を行うことにより、約1ヶ月程度で一塩基編集細胞を作製することが可能になった。これは一塩基変異の逆遺伝学的解析をスピーディーに進める上で非常に有効な手段となる。また、本研究で確立した方法は熟練した技術を必要としないため、その点においても研究推進に有効である。この方法を利用し、NBS1遺伝子の一塩基編集細胞を4種類複数クローン作製することに成功し、両アリルに同じ一塩基変異が導入された細胞も得られた。これにより任意の一塩基変異による細胞影響を逆遺伝学的に解析することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一塩基編集法を構築し、目的のSNPを有する疾患モデル細胞を作製した。これにより概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は得られた疾患モデル細胞を用い、表現型解析やプロテオミクス解析を行い、各SNPについての影響について検討する。
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Causes of Carryover |
当初の計画では、組換え体の検出にはTaqmanプローブを用いたSNPタイピングを予定していたが、制限酵素サイトを利用した検出法の方が、判定が容易で安価であったため、Taqmanプローブの購入費が予定より少なく、当該金額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度では、プロテオミクス解析を行う予定であるので多額の費用が予想されるため、そちらの費用に充当する予定である。
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