2015 Fiscal Year Research-status Report
海氷内部における炭酸カルシウム結晶の生成メカニズムの解明
Project/Area Number |
15K16135
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
野村 大樹 北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 助教 (70550739)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 海氷 / 炭酸カルシウム / 炭素循環 / 極域海洋 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、海氷内に存在するイカイトの析出メカニズムを明らかにすることを目的とする。室内海氷生成実験や野外観測で得たデータに基づき、海氷内イカイトの生成条件と現存量を把握する。そして、イカイトが溶解した際、海洋における物質輸送過程に及ぼす影響を評価する。これにより、全球の炭素循環における海氷の重要性を評価することが可能となり、結果として、極域の物質循環の将来予測研究の端緒となる。本年度(平成27年度)は、研究対象であるイカイトのサンプルの採取に集中した。
1, 低温実験施設での海氷生成実験:北海道大学低温科学研究所および北海道大学大学院環境科学院の低温実験施設を利用し、海氷生成容器で海氷を人工的に生成させた。実験の為の海水は、平成24年度の日本南極地域観測隊員によって南極海で採取されたものを使用した。生成した海氷を、融解用バックに入れ、+4度で融解した。融解後、バック底部に集積したイカイトのサンプルを採取し、アルコールを入れた容器で-25度で保存した。現在、本サンプルの分析に向けて分析機器の調整を実施している。
2, 氷上現場観測 :海上保安庁が所有する砕氷巡視船『そうや』を用い、平成28年2月にオホーツク海南部での海氷観測航海に参加し、氷上現場観測を実施した。海氷サンプルを採取するために、アイスコアラーを用いて、鉛直的に海氷のコアサンプルを採取した。採取したコアサンプルは、温度測定後に、氷鋸を用いて、10cmに細分した。ポリエチレン製の袋に入れ、船内に持ち帰った。上記1の低温室実験と同様な方法で海氷サンプルを融解し、イカイトサンプル・融解水を保存した。また、平成28年3月にオホーツク海沿岸サロマ湖において海氷サンプルを採取した。同様の処理を実施し、現在、本サンプルの分析に向けて分析機器の調整を実施している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1, 低温実験室での海氷生成実験、2, オホーツク海およびサロマ湖において海氷・海洋観測を実施し、研究対象であるイカイトのサンプルの採取を実施することができたため。
また、現在、本サンプルの分析に向けて分析機器の調整を実施しているが順調に進行しているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、サンプル分析およびデータ解析、成果発表に集中する。3, 申請者が過去の南極観測で採取したイカイトサンプルの分析・データ解析を実施する。4, 前年度の室内実験および野外観測で得たイカイトサンプルの分析・データ解析を実施する。得た成果は国内外での学会及び国際誌に投稿する。
3, 過去に南極海で採取したイカイトサンプルの分析・データ解析 申請者は、平成25年6-8月にドイツ・アルフレッドウェゲナー極地海洋研究所の砕氷船『Polarstern』による厳冬期南極ウェッデル海での航海に参加し、イカイトのサンプルを採取した。現在、ドイツ・アルフレッドウェゲナー極地海洋研究所の冷凍庫にアーカイブされている。本研究所には、イカイトの分子構造の解析用にセットアップされたラマン散乱顕微鏡(WITec alpha 300 R, WITec GmbH, Germany)がある。また、イカイトの解析に必要な実験器具(例:高性能倒立顕微鏡)や写真撮影画像のためのソフトウェアがそろっている。申請者が本研究所に出向き、海氷中イカイト研究の第一人者であるG. S. Dieckmann博士との共同で、上記の実験器具、ソフトウェアを駆使し、実験・解析を進める。
4, 前年度の野外観測と室内実験で得たイカイトサンプルの分析・データ解析 冷凍庫で保存したイカイトサンプルを取り出し、上記3と同様の手法で分析・データ解析を進める。自然界と低温実験で採取されたイカイトと比較し、基礎実験結果の自然界への適応に向けての評価を行う。
|
Research Products
(25 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Journal Article] Helicopter-borne observations with portable microwave radiometer in the Southern Ocean and the Sea of Okhotsk2015
Author(s)
Tamura T, Ohshima K.I, Lieser J.L, Toyota T, Tateyama K, Nomura D, Nakata K, Fraser A.D, Jansen P.W, Newbery K.B, Massom R.A, Ushio S.
-
Journal Title
Annals of Glaciology
Volume: 56
Pages: 436-444
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
-
-
-
-
[Journal Article] Methods for Biogeochemical Studies of Sea Ice: The State of the Art, Caveats, and Recommendation2015
Author(s)
Miller L.A, Fripiat F, Else B.G.T, Bowman J.S, Brown K.A, Collins R.E, Ewert M, Fransson A, Gosselin M, Lannuzel D, Meiners K.M, Michel C, Nishioka J, Nomura D, Papadimitriou S, Russell L.M, Soerensen L.L, Thomas D.N, Tison J.-L, van Leeuwe M.A, Vancoppenolle M, Wolff E.W, Zhou J.
-
Journal Title
Elementa-Science of the Anthropocene
Volume: 3
Pages: 1-53
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Mid-winter freeze experiment in the Arctic Ocean: Norwegian Young sea ICE cruise (N-ICE2015)2015
Author(s)
Daiki Nomura, Mats A. Granskog, Agneta Fransson, Anna Silyakova, Stephen Hudson, Melissa Chierici, Philipp Assmy, Bruno Delille, Marie Kotovitch, Gerhard S. Dieckmann, Harald Steen
Organizer
Fourth International Symposium on the Arctic Research (ISAR-4)
Place of Presentation
Toyama International Center, Toyama, Toyama
Year and Date
2015-04-27 – 2015-04-30
Int'l Joint Research
-
-
-