2015 Fiscal Year Research-status Report
高速DNAシーケンサーによる微小動物の生物多様性モニタリング技術の高精度化
Project/Area Number |
15K16137
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
齋藤 星耕 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 研究員 (10623754)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | メタバーコーディング / DNAバーコード / DNA metabarcoding / トビムシ / 土壌動物 |
Outline of Annual Research Achievements |
微小動物の群集標本をそのまま磨り潰して抽出したDNAから、種同定に用いる遺伝子領域をPCR増幅し、これを次世代シーケンサーによって大量に解読することを通じて、群集の種組成を調査する手法(DNA metabarcoding)を、トビムシ類を対象として確立した。特に、内部標準を用いて、得られたデータを標準化することにより、群集標本間の比較において、注目する種について、定量的な比較を行うことが可能となった。 これと並行して、トビムシ類を主要な材料として、遺伝子配列によって生物種を同定するためのデータベースの構築を進めた。本データベースは、平成27年度末現在において、設定した調査地において、トビムシ類群集を構成する動物個体の95%以上をカバーしている。 上述のデータベースを元に、DNA metabarcodingにより得られたデータから、微小動物の種多様性を評価する情報処理手順を定めた。特に、生物多様性の過大評価、過小評価につながる、一つの生物種として扱う配列類似度の範囲についての閾値の設定、配列解読誤差の取り扱いについて、計算機で試験を行い、手順を定めた。 これらの技術を用いて調査地におけるトビムシ群集の生物多様性評価を行い、得られた結果が、顕微鏡観察による従来法による調査結果とほぼ同等であったことを以って、トビムシ類を対象とした技術開発は所期の目的を達成したと考えられた。 この成果を学術論文として公表する準備を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、微小動物の群集解析技術の開発を、最初に土壌動物のトビムシ類において行い、技術開発の手順を確立することにより、さらに別の動物群(ササラダニ類、カイアシ類など)についても効率的に技術開発を行っていくことを企図している。この目的のため、初年度は、トビムシ類における開発を予定していたが、これを達成することが出来たと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
二年目(最終年度)は、トビムシ類での成果を基盤として、次の動物群(ササラダニ類、カイアシ類など)を対象とした技術開発を進める。また、初年度の成果を、学術論文として公表する。
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Causes of Carryover |
当初、十分な結果が得られるまでに、かなりの試行錯誤の反復が必要となると予想された。そのため、試料採集の旅費、および、その代行を依頼するための謝金、ならびに分子生物学実験試薬の購入に、配分予算の大きな割合が支出されると想定していた。しかしながら、研究期間開始前からの準備と、研究期間開始後の進展が、当初の予想を越えて良好であったことから、予定よりも少ない支出で所期の目的を達することができた。 また、予算消化を目的として、次年度に使用するための実験試薬を予め購入することは、試薬の品質保持期限の点から望ましくないと考えられた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
二年目(最終年度)は、次年度使用額を活用して、新しく対象とする生物群(ササラダニ類、カイアシ類)の標本収集、技術開発を活発に行っていく予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] DNA metabarcoding of springtails (Collembola)2015
Author(s)
Saitoh, S. Aoyama, H., Fujii, S., Sunagawa, H., Nagahama, H., Akutsu, M., Shinzato, N., Kaneko, N., & Nakamori, T.
Organizer
6th International Barcode of Life Conference
Place of Presentation
University of Guelph, Guelph, Ontario, Canada
Year and Date
2015-08-18 – 2015-08-21
Int'l Joint Research
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