2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K16138
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Research Institution | Marine Ecology Research Institute |
Principal Investigator |
諏訪 僚太 公益財団法人海洋生物環境研究所, 海生研実証試験場, 研究員 (30570379)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | サンゴ礁 / 造礁サンゴ / 白化現象 / 海洋酸性化 / 二酸化炭素 |
Outline of Annual Research Achievements |
サンゴの採集を熊本県天草市にて行い、Acropora formosaスギノキミドリイシを採集した。採集したサンゴは海洋生物環境研究所実証試験場に送付し、アクリル水槽内にて養生させた。光合成測定器(PAM)や光量子計、LED照明などの主な実験機器の準備を行い、実験装置の設置を行うと共に、本年度の実験には用いなかったもののPAMによるサンゴの光合成能の測定手法を確立した。実験水槽内にて水温2段階25℃及び28℃、CO2濃度2段階400ppm及び850ppmを組み合わせた4条件を制御できるシステムを確立した。 水槽内にて白化させたサンゴ枝片と白化していない健常なサンゴ枝片を水温2条件×pCO22条件の計4条件にそれぞれ曝露し成長や褐虫藻密度の回復の違いを調査した。曝露期間は2か月とした。実験開始時には褐虫藻密度、白化の度合い(色調レベル)及び表面積、水中重量を測定した。1か月後には水中重量を測定した。実験終了時(2か月後)には褐虫藻密度、白化の度合い(色調レベル)及び表面積、水中重量を測定した。結果は解析中であるものの健常なサンゴにおいては何れの条件下でも重量の増加率に差は無かった。また、白化したサンゴでは全ての条件において骨格の脱灰がみられ増加率がマイナスとなった。2つのpCO2条件下での成長量に差は無いものの高水温下では脱灰が抑制されることが分かった。今後これらについてはさらに解析を進めると共に曝露条件の調整や実験の繰り返しを行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
夏期の異常高海水温がもたらす造礁サンゴ類の白化現象とそれに続く大量死によって、サンゴ礁生態系の崩壊が生じ始めている。しかしながら、将来のCO2増加に伴う海洋酸性化が白化現象を促進するのか否かは未だ明らかでない。また、白化したサンゴは高水温が長期間続かなければ回復するが、白化からの回復に海洋酸性化が与える影響を調べた研究例は無い。そこで本研究は、海洋酸性化がサンゴの白化現象に及ぼす影響を評価することを目的として、1) サンゴの白化現象を誘起する実験条件の探索 2) 高CO2濃度環境がサンゴの白化現象の誘引に及ぼす影響 3) 高CO2濃度環境がサンゴの白化現象からの回復に与える影響を正確に評価することを目的としており、本年度は白化後のサンゴの回復への酸性化と高水温の影響を造礁サンゴ類の1種Acropora formosaを用いて評価した。実験装置の作製と測定手法の確立をすると共に曝露実験を行なうことができた。論文化に足る実験結果を得るためには曝露条件や期間などを再調整しての繰り返し実験が必要であり、これらの進み具合を考慮すると本年度の研究計画の達成度は70%程度と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はサンゴの白化現象からの回復過程と共に、白化過程への海洋酸性化影響についての解析を計画している。前者については前年度の手法と結果を用いて繰り返し実験を行なうことで研究を進めていきたい。後者については強光条件と高水温条件、酸性化条件を組み合わせることで白化が誘導される際の成長率や光合成能、褐虫藻密度の変化、白化速度の違いについて、これまでに開発を終えている影響査定のための室内水槽実験装置を用いて調べていきたい。結果がまとまり次第、発表の機会を設けたい。
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