2015 Fiscal Year Research-status Report
微生物機能を活用した化合物半導体廃棄物からのカルコゲン元素回収プロセスの開発
Project/Area Number |
15K16145
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
黒田 真史 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20511786)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | カルコゲン / セレン / テルル / 太陽電池 / 資源循環 |
Outline of Annual Research Achievements |
酸化銅、インジウム、ガリウム、セレンの各粉末をそれぞれ、濃硝酸、希硝酸、王水等を用いて完全に溶解した。CuIn0.8Ga0.2Se2の比率になるように酸溶解液を混合したものをCIGS太陽電池廃棄物模擬抽出液として検討を行った。まず、水酸化ナトリウムでpH7.4、9.6、および11に中和処理を行い、電気伝導度計で塩分濃度を測定したところ、それぞれ1.25%、1.27%、および1.31%となった。また、Cu、Inは全て中和時に沈殿して固相に以降した一方で、GaとSeはpH7.4においては中和時に半分程度が沈殿し、pH9.6、11では沈殿は生じずほぼ全量が液相に溶解していた。これらの中和液上清について、TOC 500 mg/L、C=500 mg/L、N=25 mg/L、P=5 mg/Lとなるように作成した合成下水、またはTSB培地と1:4の割合で混合し、前者は研究室においてSeで馴養した活性汚泥、後者はセレン代謝細菌であるPseudomonas stutzeri NT-Iをそれぞれ用いて処理を行った。その結果、活性汚泥およびNT-I株ともに、水相中のGa濃度を変化させなかった一方で、活性汚泥においては48時間目までに、またNT-I株においては24時間目までにほぼ全量のSeを水相から除去した。またNT-I株においては、固相に除去されたSeは168時間目までに液相・固相の両方から消失したことから、揮発化により除去されたものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
活性汚泥およびNT-I株により模擬廃棄物からセレンを除去できることが示され、さらにNT-I株では揮発化除去が可能であることが示されたため、(2)おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
NT-I株は太陽電池模擬廃棄物からの優れたセレン除去能力を示すことが明らかとなったことから、この効率化に向けて、NT-I株のセレン除去メカニズムの解析を進める。また、テルルの除去が可能となる微生物触媒の検索を進める。
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Causes of Carryover |
消耗品の購入のタイミングのずれによるものであり、概ね順調に執行している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品の購入を行う。
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