2019 Fiscal Year Research-status Report
反応性末端を有するバイオポリエステルの微生物合成と構造制御による高性能化
Project/Area Number |
15K16147
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
百武 真奈美 東京工業大学, 物質理工学院, JSPS特別研究員 (90733957)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ポリヒドロキシアルカン酸 / PHA重合酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではBacillus cereus YB-4由来重合酵素(PhaRC)が示す加アルコール分解能に着目し研究を行っている。PhaRCを発現させた大腸菌株を一部のアルコール存在下で培養すると、カルボキシ末端にアルコールが付与されたPHAが生産されることが分かっている。片末端に官能基を有する一部のアルコールを用いた場合、酵素の基質特異性に合致すれば、分子鎖末端に官能基を有するPHAを得ることが可能である。昨年度までに合成した、分子量分布が二峰性のPHAについて分画を実施したところ、分画は可能であったが目的の分子量部分の回収率を十分に高めることは困難であった。したがってこれまでの研究にて見出した末端エテニル基を有する低分子量PHAの生合成法を応用し、末端反応と生成物の物性評価を試みることとした。まず、末端にエテニル基を有し炭素鎖長の異なるアルコールを用いて、二段階培養における末端修飾PHAの合成について調査した。その結果、炭素鎖長が長いほどPHAが低分子量化しており、加アルコール分解の頻度が高くなることが分かった。効率的なPHA生産のため一段階培養での合成条件を検討したところ、6-hepten-1-olを用いることで数平均分子量1万以下、末端修飾率97%以上のPHAを約7g/L合成できることが分かった。このPHAは単峰性であることを確認している。精製したPHAと市販のチオール含有ポリマーとの反応を試みたところ、溶媒にクロロホルムを用いた場合に末端二重結合の消失が確認され、反応の進行が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
PHAの分画の必要性については当初から織り込んでいたが、条件検討したものの目的画分の回収率を十分に高めることができず、最終的な物性解析に十分な材料を取得することは困難と判断した。したがって着目する末端基を切り替えることとし、PHAの合成条件の検討などを再度行わざるを得ず、やや遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
実施した反応条件をベースに、PHAのブロック化を試みる。現在までに合成したPHAは繰り返し構造部分が3-ヒドロキシブタン酸のポリヒドロキシブタン酸(PHB)であり、この構造を変えることで物性が大きく変わることが知られている。したがって、PHBと他のPHAとのブロック化を試みる。一方で、系中における反応基の量が少ないこと、およびPHAを溶解可能な試薬が限られているため、必要に応じて今後も有用な反応の調査やそれに必要な官能基のPHA末端への付与についても検討する。
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Causes of Carryover |
着目する末端基を変更したことにより、当初購入予定であった試薬類などの購入を見送ったため次年度使用額が生じた。引き続き研究を遂行するため、試薬を含めた消耗品の購入に使用する予定である。
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