2015 Fiscal Year Research-status Report
Cuナノ粒子を用いたAg集電電極代替によるSi太陽電池の低コスト・高効率化
Project/Area Number |
15K16155
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
横山 俊 東北大学, 環境科学研究科, 助教 (30706809)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Cuナノ粒子 / 焼結反応 / 低効率 / 粒径制御 / 毛細管力 |
Outline of Annual Research Achievements |
Si系太陽電池を普及させるためには、発電コストを大きく低減することが必須である。既存の電池価格の大部分はAg集電電極が占めており、その電極抵抗率は10μΩ・cm以上とバルク特性(2μΩ・cm)には及ばない。即ち、Agを安価なCuに代替することで低コスト化、更に電極抵抗率を下げることで、数%の電池効率の向上が望める。電極形成には低温焼結Cuナノ粒子が必要であるが、既存の合成方法と電極化技術では、高コストかつ酸化の問題により実用に適さない。そこで本研究では、低コストかつ耐酸化性を有するCuナノ粒子の合成技術を基礎として、粒径制御により抵抗率を減少させ、粒子-電池基板の電荷制御による簡便・低コストな電極化技術を開発し、太陽電池の低コスト化・高効率化を達成することを目的としている。これまで開発したCuナノ粒子は優れた特性(耐酸化性・低温焼結)を有し、低効率は既存のAgナノ粒子と同程度まで減少しているが、バルク特性には及んでいない。抵抗率は粒子サイズに依存することから、平成27年度は粒径制御による抵抗率の低減を試みた。Cuナノ粒子の合成条件制御により、20nmから10μmの範囲で粒径制御に成功している。粒径が小さいほど焼結反応は進行し、高密度化することでバルクに近い特性が発現すると考えられるが、本ナノ粒子では粒径を小さくした場合でも低効率の低下は確認されなかった。これはナノ粒子と溶媒を混合してインクを作成し塗布した場合、隣接する粒子間距離が離れているため、焼結反応が十分に進行しないことに起因することを明らかとしている。塗布後の隣接粒子間距離を短くするため、ナノ粒子を溶媒に均一に分散させ、溶媒蒸発時に発生する毛細管力によって圧縮することを着想し、最適な溶媒を選定した結果、隣接粒子間距離を短くし、粒径低減によって低効率を数十μΩ・cmから最小で7μΩ・cmへ低減することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、Cuナノ粒子の粒子を制御することで焼結後の抵抗をAgの場合よりも低減させ、可能な限りバルク特性に近づけることを目的としており、粒子の制御に加えてインク作成時の溶媒の最適化を行うことによって、ナノ粒子塗布後の粒子の隣接間距離を短くし、焼結反応を促進させることで、既存Ag電極よりも低効率を低減させ、大きくバルク特性に近づけることに成功したため、研究進捗状況はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究進捗に遅れはないため、計画通り、平成28年度は本Cuナノ粒子を用いた電極形成の技術開発を行った後に、太陽電池基板へCu集電電極を形成し、電池特性評価を行い、Si太陽電池の低コスト・高効率化を試みる。現在のCuナノ粒子の低効率は7μΩ・cmとまだバルク特性に及ばない。電極形成技術としては、基板とCuナノ粒子の表面電荷相互作用による粒子積層および電気化学的にバイアスを印加することで積層を加速することを予定しているが、バイアス印加によるナノ粒子積層時の隣接粒子間距離は、Cuナノ粒子インクを作成し、塗布した場合以上に短くできる可能性がある。そのため、低効率の低減もあわせて検討することで、更なるSi太陽電池の低コスト・高効率化を試みる。
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Research Products
(1 results)