2016 Fiscal Year Research-status Report
自然観光資源の持続的管理に資する政策手法の実証分析:間接的手法に着目して
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15K16159
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 俊徳 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特任助教 (30612452)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | エコツーリズム / 自主ルール / 保全利用協定 / 利用調整地区 / マイカー規制 / ガイド認定制 / 自然観光資源 / 国立公園 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年の成果は次の三点である。第一に、2016年6月に実施された環境法の国際会議(於リュブリャナ大学)において、日本のラムサール条約登録湿地の利用に関する自主ルールの策定過程と実施構造について発表を行った。日本では、厳格な規制と監視に基づくコマンドアンドコントロール(=直接規制)型の政策ではなく、関係行政機関を含む利害関係者が策定する緩やかな自主ルール(協定や申し合わせを含む)が、協議会等の仕組みを通じて策定され、関係者の了解(時に暗黙の了解)を得ることで、実施されていることを論じた。座長やパネリストから有益な助言を得ることができた。 次に、2016年8月から2017年1月の半年に渡り、月刊誌『グリーン・パワー』に「エコツーリズム・マネジメント」と題して、研究の成果を発表した。日本における自然観光資源管理の特徴として、行政部門における資源の少なさと権限の弱さが挙げられるが、一方で、沖縄県の保全利用協定や国立公園におけるマイカー規制や利用調整地区制度、事業者による自発的なガイド認定制など、公私協働を前提とした先進的な仕組みが数多くあることを論じた。ただし、行政資源の観点から「安上がり」な制度ではあるものの、必ずしも効果的な制度とはいいがたい点を指摘した。 最後に、講演会や会議を通じた社会への還元が挙げられる。2016年8月、2017年3月に徳之島町において持続的なエコツーリズムに関する講演を行った。また、2017年2月には、鹿児島県の主催する会議において、奄美大島における利用調整の在り方に対する助言を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年は想定外の仕事が入ったため、当初予定していたガイド認定制に関する調査を実施することができなかった。また、保全利用協定に関する研究をジャーナルに投稿する予定であったが、遅れている。一方、実績欄に記した通り、①国際会議での発表、②月刊誌での研究成果の公表、③講演会や会議を通じた社会への還元、を行うことができた。最終年度となる2017年度は、遅れを取り戻すべく努力する。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年となる2017年度は、当初予定通り、経済的手法(環境税の徴収)を中心に調査を行う。特に、環境保全を目的とした法定外目的税を導入している渡嘉敷村、伊是名村、伊平屋村を事例として、聞取り調査と統計データの収集を行い、分析結果をジャーナルに投稿することを目標とする。また、保全利用協定に関する研究もデータの追加収集、分析を行ったうえで、論文執筆を行いジャーナルへの投稿を目指す。 加えて、2016年度に実施できなかったガイド認定制に関する調査を実施するとともに、雑誌や新聞、講演会や会議などを通じて、研究の成果を広く社会に還元することを重視する。
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Causes of Carryover |
当初予定していなかった仕事が生じ、予定していたニュージーランドでの調査を実施することができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2018年2-3月頃にニュージーランドでの調査を行う。
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[Book] 国立公園論2017
Author(s)
国立公園研究会・自然公園財団編(分担執筆)
Total Pages
263 (156-162)
Publisher
南方新社
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