2017 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of Policy Making Processes and Implementation Structures Concerning the Management of Natural Tourism Resources
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15K16159
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 俊徳 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特任助教 (30612452)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | エコツーリズム / 自然観光資源 / 自主ルール / ガイド認定制 / 環境協力税 / 国立公園 / 取引費用 / 保全利用協定 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、沖縄県伊是名村、伊平屋村で実施されている環境協力税の制定経緯と税収の推移、使途内訳に関するデータを収集した。入域者に対する課税は環境負荷を抑制するとともに環境対策費用を創出する点で「二重の配当」が期待される経済的手法の一つであるが、その制定経緯を分析した結果、合意形成や政策実施にかかる「取引費用」の多寡が、環境税導入の可否に影響することを確認した。本調査結果は、ジャーナルへの投稿を準備中であり、H30-32年度の科研費(基盤C)を新たに得るにあたり、重要な発見となった。 本研究では、自然観光資源の管理に資する間接的手法を選択する際の合意形成過程や実施構造に着目して研究を行ってきた。当初は法制度や入域者数の増減といった目に見えやすい情報やデータに着目して研究を開始したが、研究を進めるにあたって、むしろ、政策手法を選択する実質的な裁量権者である行政官のインセンティブ構造や専門性、また、地域における試行錯誤の歴史から生じているインフォーマルな制度や組織が、政策手法の選択に影響していると考えるようになった。そこで、当初の予定から多少外れるが、国立公園等の自然保護区を管理している環境省自然保護官のインセンティブ構造や専門性に関する研究を行政学の観点から推進した。その成果は日本行政学会の『年報行政研究53』(2018)に掲載された。また、自然観光資源が集中的に所在する国立公園制度を深く考察することを目的に「国立公園行政史の研究」を『國立公園』誌に五回にわたり連載した。 これら基礎研究は一見、遠回りではあるが、自然観光資源の管理における政策手法の実証分析を行うにあたり、非常に有益であった。また、研究で得た成果は、『グリーン・パワー』誌の連載や各種講演会、委員会等で、社会に還元することが出来た。現在着手している論文投稿を行うことで当初の目的達成となるので引き続き努力する。
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