2015 Fiscal Year Research-status Report
中途視覚障害者のための視覚的顕著性と錯触に配慮した触知ピクトグラムの開発
Project/Area Number |
15K16170
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
上田 篤嗣 岡山県立大学, デザイン学部, 助教 (90382366)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ピクトグラム(絵文字) / 触知行動評価 / 認知機能評価 / 触地図 |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢社会を迎えた我が国において、今後増大するであろう中途視覚障害者の移動環境整備のために、習得が困難である点字に代わる触覚を介して情報の伝達を行う「触知ピクトグラム」の利用可能性を検討する研究が近年、進められている。しかし、これまでの検討では触知ピクトグラムの最適サイズ等の人間工学的な観点からの知見のみであり、ピクトグラム自体のデザイン性の評価や改良に関する検討はほとんど進んでいない。そこで、本研究では中途視覚障害者の生活自立、社会参加及び安全性の向上を企図して、触知しやすく理解しやすい触知ピクトグラムデザインを追求する。そのために、これまでの知見から浮き彫りになった2つの観点、すなわち「視覚的顕著性」と「視覚と触覚モダリティ間のミスマッチ(錯触) の補正」をもとに、視覚情報のみならず触覚情報をも提供できるピクトグラムを開発する。 初年度は、視覚と触覚モダリティ間のミスマッチ(錯触) 補正のための前段階実験として凸の適正な高さの検証実験、および視覚的顕著性を計測するための素材用の種類・サイズ決めと、ピクトグラムの表示精度を高めるためにsaliency mapと視線計測を活用した予備実験を行った。なお、saliency mapのプログラムは研究協力者から提供された。 触知ピクトグラムの凸の最適な高さの検証実験においては、まずJIS型ピクトグラム「標準案内用図記号」の中から視覚障害者が屋外での移動および生活行動範囲を広げられると考えられる10個を選定した。その選定したピクトグラムを、前研究において最適な触知しやすいサイズと示唆された120mm×120mmサイズで、アクリル板を加工し、0.4mm、0.6mm、0.8mm、1.0mmの高さに浮き上がらせた触知ピクトグラムで検証した結果、0.8mm程度の高さが最も触知に適していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画が前後し、視覚と触覚モダリティ間のミスマッチ(錯触) 補正のための前段階実験として凸の適正な高さの検証実験から先に行ったが、ピクトグラムの表示精度を高めるためにsaliency mapと視線計測を活用した予備実験を完了している。また実験用の刺激作成も順調に進んでおり、本年度から視線計測実験を計画通りに進めることができると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
JIS 型ピクトグラム「標準案内用図記号」の視覚的顕著性を明らかにすべく、健常者を対象にピクトグラムの視認性を視線計測装置を用いて詳細に検討すると同時に、当該ピクトグラムを特徴抽出理論に基づくsaliency mapを作成し視線計測結果との照合を行う。
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Causes of Carryover |
視線計測実験に最適な機材が同大学内で借用できることとなり、当初の予定より機材等の準備費が大幅に余ったために残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
視線計測実験に関しては、当初の計画よりやや遅れているが、より精度の高い実験が順調に進むように刺激作成費、および被験者費や謝金に使用し本研究を前年度以上に深めていきたい。
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Research Products
(1 results)