2015 Fiscal Year Research-status Report
環境デザインを基軸とした新たな都市再生に関する計画・デザイン論的研究
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15K16173
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Research Institution | Kobe Design University |
Principal Investigator |
宮本 万理子 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 助教 (60633790)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 環境シミュレーション / スマートシティ / 環境デザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
次の2つのテーマで研究を進めた。 (1)国内の事例として,現在スマートシティ構想を掲げている神戸市をとりあげ,風・温熱環境を指標として環境シミュレーションを行った。具体的には,兵庫運河地区を対象として,4つのモデルを設定し,シミュレーションを行った。その結果,風環境解析については,1)兵庫運河があることで,風の道が形成されること,2)工場や倉庫などの立替え想定敷地を中層マンション化することで,線的な櫛状の風通しが発生し,兵庫運河の既存の風の道が促進されること,3)工場や倉庫などの建替想定敷地を緑化(樹林化)することで,面的な防風効果が発揮され,兵庫運河などの既存の風の道がより促進されること,が解明された。また,熱環境解析については,1)兵庫運河があることで,ある一定の冷却効果がみられること,2)建物緑化は近接範囲での点的な冷却作用があり,都市緑地は街区全体での面的な冷却作用が期待できること,が解明された。本研究成果は,季刊都市政策において報告書としてまとめられている。 (2)温熱環境等を指標とした都市政策が既に展開されている海外先進事例として,ドイツを対象に,風の道計画を取り入れたシュツットガルト21および工場跡地をエコロジカルに再生したエムシャー・ランドシャフトパークの2つのプロジェクトに着目し,現地調査を行った。その結果,1)両者はエコロジーをツールとして用いながら都市再生を行っていること,2)両者の都市再生に対する合意形成のあり方が異なっていること,が解明された。本研究成果は,芸術工学において報告書としてまとめられている。 以上2点を踏まえたうえで,計画論からみた環境デザイン政策の実態解明及び比較検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画であった1)国内の事例として,現在スマートシティ構想を掲げている神戸市をとりあげ,風・温熱環境を指標として環境シミュレーションを行うこと,2)風・温熱環境を指標とした都市政策が既に展開されている海外先進事例を対象として,その社会背景,計画意図,計画実態の調査を行う,といった内容は計画通りおおむね順調に進展している。これらの研究成果は,季刊都市政策,芸術工学において報告されている。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は,次の2つのテーマで研究を進める。 ①国内の事例として,地方都市である坂出市を対象として,日照条件等を指標として環境シミュレーションを行い,その結果をもとに,今後の地方都市の土地利用政策のあり方について検討する。 ②風・温熱環境等を指標とした都市政策が既に行われている海外先進事例(ドイツを予定)を対象として,その社会背景,計画意図,計画実態の調査を行う。 以上2点を踏まえたうえで,計画論からみた環境デザイン事例の実態解明および比較検討を行うこととする。
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Causes of Carryover |
海外先進事例調査のための資料収集を行う予定であったが,十分な資料が集まらなかったため次年度繰越となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
海外先進事例調査のための資料収集に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)