2017 Fiscal Year Research-status Report
ライフスタイルを考慮した運動パターンの違いによる腸内フローラの比較
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15K16175
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
竹下 温子 静岡大学, 教育学部, 准教授 (10412850)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 習慣的運動 / 腸内細菌 / ライフスタイル |
Outline of Annual Research Achievements |
生涯にわたりQOLを高めた生活を送るためには、ライフステージにおける「運動」と「栄養」のバランスを保ったマネジメントが重要となる。近年、腸内フローラと病態に関する研究が飛躍的に進む中で、腸内フローラの充実を図ることが免疫の向上、さらに、様々な疾病予防に繋がるとされ、特に食からのアプローチが際立っている。そこで本研究では長期の習慣的運動モデルマウスを用いて、習慣的運動と腸内フローラの関わりを明らかにすること、さらにヒトのライフスタイルを考慮した運動のパターン化による腸内フローラの変動について比較・検討することを目的とし、研究を進めてきた。 昨年度は、子供のころ運動をしていたが、働き始めて運動をしなくなった人のパターンを考え、12週から運動を止めた群(Ex-S群)、長期習慣的運動群(EX群)、コントロール群(Se群))で腸内細菌叢の4門の相対存在比を比較した。その結果、運動量がピークとなる4週間目にEx群で Bacteroidetes門が有意に低値を示したが、その他の週では、3群間で違いがみられなかった。このことから長期の習慣的運動が腸内細菌叢の4門に影響を及ぼすよりも、むしろ、運動強度が4門の比率を変化させる可能性が強まった。よって、今後は4門以外に属、科、種レベルで違いがないか確認する必要性があり、来年度は予算許す限り、次世代シークエンサーを用いた解析を行い、長期の習慣的運動や運動パターンの違いが腸内細菌叢に及ぼす影響を明らかにしていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1年目に運動器具購入に時間を要したこと、さらに2年目で運動器具の不具合の発生や、4門のうちのproteobacteria門が検出されないなどの不測の事態が発生し、当初の計画より大幅に遅れを取っていた。本研究は長期習慣的運動を検討しているため、マウスの飼育期間は6ヶ月を要し、一年で最大でも2サイクルの飼育となるため、なかなか後れを取り戻すのに時間を要した。 昨年は運動器具の不具合などもなく、順調に2サイクル飼育できたため、少しずつ後れを取り戻している。昨年までで、長期習慣的運動群(Ex群)と、途中で運動を止めた(EX-S)群との比較が終了した。最終年度である本年度は、2日に1回運動を止め、週に2回程度の運動パターンを視野に入れた検討を行っていく。最終年度は解析を中心としたまとめの年としていたが、実験と並行しながら解析を行い、運動パターンの違いが腸内フローラに影響を及ぼすか否かを明らかにしていく。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は運動器具の不具合などが発生するなど予期しない状況が多発したが、現在長期習慣的運動群(Ex群)途中で運動を止める群(Ex-s群)非運動群(Se群)との比較まで終えた。 本年度は、運動のパターンを運動量が一定となる12週から2日に1回運動を止めたEx-s群、習慣的に運動を行うEx群とし、この群間に違いがあるか比較・検討していく。さらに、昨年までの結果から、体重量や白色脂肪細胞量には有意差が認められるにも関わらず、腸内細菌層の4門には差が認められない結果を得たため、本年度は、次世代シークエンサーを用い、属、科、種レベルで比較・検討していく。また、白色脂肪細胞量減少のメカニズムとして短鎖脂肪酸受容体のGPR43は白色脂肪細胞におけるインスリンシグナルをコントロールしていると報告され、GPR43が活性化されることによって、脂肪の蓄積を抑えるといわれている。このGPR43の活性化に腸内細菌が産生する酪酸が影響を及ぼすことも近年の研究より明らかにされている。よって白色脂肪細胞中のGPR43の発現量について検討し、長期の習慣的運動による脂肪蓄積抑制効果がこれらに起因するか検討していく。さらに褐色脂肪細胞量について非常に興味深い結果を得ているため、これらのメカニズムについても、詳細に検討していきたい。
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Causes of Carryover |
1年目は運動器具の購入に時間がかかり、2年目では器具に不具合が生じたことから、実験計画が大きく遅れを取っていた。さらに、一時DNA抽出法も検討していたため、試薬の購入をストップしていた。昨年、これらの改善を行い、次世代シークエンサーによる解析を検討することとしていたが、すべての群のサンプルが出そろった上で、次世代シークエンサーにかけるサンプルを決定することとしたため、最終年度の来年に予算を回し、3年間使用を制限してきた金額を用いて、次世代シークエンサーの解析を行う予定である。
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