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2015 Fiscal Year Research-status Report

浴槽表面のすべりの評価方法に関する研究

Research Project

Project/Area Number 15K16180
Research InstitutionNara Women's University

Principal Investigator

工藤 瑠美  奈良女子大学, 生活環境科学系, 講師 (50599131)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2018-03-31
Keywords浴槽 / すべり / 尻
Outline of Annual Research Achievements

日本は本格的な高齢社会を迎え、家庭内における高齢者の事故は年々増加し、特に“浴槽での溺死事故”は増加の一途を辿っている。浴槽での溺死事故の原因は特定しにくいが、浴槽内に浸かっている姿勢時に尻と背中に不都合なすべりが生じて溺れることが含まれることは容易に想定できる。このような浴槽表面の不都合なすべりによる溺死事故防止のための一つの手段として、入浴姿勢時に尻と背中がすべりにくい浴槽表面の開発・選択が考えられる。そこで、本研究では入浴姿勢時の浴槽表面の尻と背中のすべりの測定・評価方法を提案することを目的とする。
本年度は、浴槽内に用いられる材料を検査試料として選定した上で、検査員を用いて入浴姿勢時に浴槽表面の尻と背中とのすべり具合に関する官能検査を実施し、検査員の回答に基づいて、入浴姿勢時の尻と背中とのすべりに関する心理的尺度を構成することであった。しかし、浴槽内に用いられる検査試料を選定するにあたり、どのような浴槽で事故が発生されているのかを把握する必要があった。そこで、高齢者の浴室における転倒事故の発生状況を把握するとともに転倒防止対策について十分に検討していると考えられる高齢者施設を対象に、浴室における転倒事故の実態調査を実施することとした。高齢者施設は、入浴中に介助者が比較的見守りをしている施設を対象に、個浴9施設、大浴場2施設の計11施設を選定した。施設の利用者は、平均年齢が約80~90歳で、11施設中7施設が要介護度2~4で、4施設が自立であった。高齢者施設の介助者は、高齢者の浴室での事故が多発していることを認識されていることから、十分注意を払いながら介助していることもあり、高齢者施設での転倒事故の発生件数やヒヤリハットの件数は非常に低く、転倒時の状況把握までには至らなかったが、使用されている浴槽の形状や浴室の状況などは把握することができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

当初は、浴槽内に用いられる材料を検査試料として選定した上で、検査員を用いて入浴姿勢時に浴槽表面の尻と背中とのすべり具合に関する官能検査を実施し、入浴姿勢時の尻と背中とのすべりに関する心理的尺度を構成する予定であった。しかし、高齢者施設を対象に行った浴室における転倒事故の実態調査より、浴槽の材料としては一般的に樹脂が使用されており、さまざまな浴槽の材料を選定した検討の必要性は見つからなかった。また、ヒヤリングにより、浴槽内の尻や背中のすべりの影響は、浴槽内の材料の違いよりも浴槽の形状等の違いによる影響が大きく、浴槽底の形状や背もたれの形状の違いにより尻や背中のすべりが異なることが想定された。また、浴槽の淵に腰を下ろしたときに尻がすべるという意見もあったことから、浴槽の淵の形状の違いも尻のすべりに影響していると想定できた。これらのことから、浴槽の形状の違いによる尻のすべりの検討を中心に研究を進めることが妥当ではないかと判断した。
当初の計画よりも遅れているが、高齢者の転倒事故の実情把握や現在使用されている浴槽の形状等について調査することができ、研究の方向性が明確になった。

Strategy for Future Research Activity

今後は浴槽内に用いられる材料の違いによる検討よりも、浴槽の形状等の違いによる検討の必要があることから、官能検査は浴槽の形状等が異なる検査試料を作成した上で、検査員を用いて尻のすべり具合に関する官能検査を実施し、入浴時の尻のすべりに関する心理的尺度を構成することとする。
そして、次に入浴時に浴槽に尻が接する際の圧力分布を測定し、構成した心理的尺度と圧力分布の測定した結果を用いて、浴槽表面のすべりを測定するすべり試験機を設計・試作する。最後に、設計・試作したすべり試験機で測定されたすべり抵抗係数を性能値として提示するとともに、この性能値と構成した心理学的尺度との関係を浴槽のすべりの評価指標として提示する。
最終的に、本研究では入浴時の浴槽表面の尻のすべりの測定・評価方法を提案することを目的とする。

Causes of Carryover

当初は、浴槽内に用いられる材料を検査試料として選定した上で、検査員を用いて入浴姿勢時に浴槽表面の尻と背中とのすべり具合に関する官能検査を実施する予定であった。しかし、高齢者施設の浴室調査を中心に行い、検査試料等の物品の購入などを行わなかったことから、次年度使用額が生じた。

Expenditure Plan for Carryover Budget

実施する予定の官能検査に必要な検査試料の作成費として使用する。

URL: 

Published: 2017-01-06  

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