2016 Fiscal Year Research-status Report
学校教育における防災教育の充実,防災の視点を取り入れた家庭科住居領域の教材開発
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15K16183
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
黒光 貴峰 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (50452925)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 技術・家庭科(家庭分野) / 住生活 / 模型教材 / 有効性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、初年度開発した教材を、1)実際の教育現場に導入し、2)有効性の検証を行った。1)は、平成28年5月10日ならびに5月19日に、鹿児島県内の中学校において、技術・家庭科(家庭分野)の授業内で行った。2)は、(1)教材の活用に要する時間の計測、(2)実施課題の完成度、(3)開発教材を使った授業に対する学習者と授業者の反応、の3つの視点から行った。(1)では、授業における教材を使った活動の所要時間を計測し、授業時間内に行えることの確認を行った。(2)では、授業の評価基準ならびに教材を使った活動の評価規準を設定し、学習者が学習目標に達していることの確認を行った。(3)では、授業後、生徒にアンケート調査を行い、模型を使うことで、①授業への意欲は高まったか、②学習内容への興味・関心、知識・理解は高まったか、③学習課題を自分なり考えて工夫できたか、④学習活動や発表が行いやすかったか、⑤学習内容を具体的に考えやすかったか、⑥授業は楽しかったか、⑦このような授業をもっと受けたいと思ったか、等の確認を行った。また、授業者へのヒアリング調査を行い、教材の使いやすさ、教材を使うことで生徒への教育効果が高まった、等の確認を行った。検証によって、開発した教材を導入することで、学習者および授業者への効果が確認された一方、「開発した教材では10分の1の縮尺のイメージがつきにくい」といった課題があげられ、それについては、①目盛り線を表示する、②家具以外に縮尺した中学生の模型の作成を行う、といった改善を図り、より効果的な教材へ修正を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初、計画をしていたのは、実際の教育現場での実施と有効性の検証であった。今年度は、計画通り、開発した教材を導入した授業を実施し、有効性の検証を行うことができた。さらに、検証の結果より得られた改善点について、今年度中に教材の改善を図ることができ、改善した教材を使った授業の実施(授業実施日:平成29年2月28日、3月6日)も行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、開発した教材の教育現場への普及の検討を行う。具体的には、1)社会への発信、2)教員向けの研修の実施、3)開発教材の発展の検討である。1)は、関連する学会、研究会での報告である。2)は、1)とあわせて、より多くの授業で使ってもらえるように、開発した教材の普及を行う。家庭科の指導の実態をみると、住生活の内容は、①教育対象が大きいため教材として教室に取り入れることが難しい、②各人のプライバシーと関係するため指導するのが難しいといった課題があり、教育現場において指導するのが難しいとされている。そのため、開発した教材の使い方などを含めた研修等を実施していくことでそれらの課題の解決を図っていく。3)は、(1)防災教育教材としての発展性(幼稚園、小学校、高等学校などの他校種や他教科での活用方法の検討)、(2)模型教材としての発展性(家族の安全を考えた室内環境の整え方以外での活用方法の検討)、(3)より効果的な指導方法の検討(ICTの活用や教材の活用方法などを記した指導書の作成)、の3つの視点から行う予定である。
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