2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K16196
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
小林 由実 中部大学, 応用生物学部, 助手 (40512108)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 調理と加工 / 評価 / 天ぷら / 水分 / 画像処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
天ぷらの「おいしさ」は素材の旨味が保持され、さくさくした衣に覆われたものと評価できる。この「おいしさ」の評価を調理過程中の指標(油面の揺らぎ)から推定するために、衣および素材の水分の挙動とそれが出来上がりに及ぼす影響を検討した。平成28年度は、平成27年度に確立した分子量の異なる水を用いた水分挙動調査方法により、澱粉性食品の水分移動状況を調べた。 澱粉性食品の天ぷらはさつまいも(10×10×8㎜:水分66%)に水分62%に調製した衣(薄力粉1g、重水1.6g)をつけ、160℃、180℃、200℃の油で3分間揚げて作成した。加熱開始13秒後と3分後の衣とさつまいもの水(水-16O)と重水(水-18O)をGCMSで測定し、水(水-16O)と重水(水-18O)の割合から水分移動状況を推定した。また、水分移動状況が出来上がりに及ぼす影響を明らかにするために常圧乾燥法から水分量、グルコアミラーゼ法と走査型電子顕微鏡像から糊化度を調べた。 揚げ温度160℃において加熱13秒後では、他の温度に比べ衣からさつまいもへの水分移動は少なく、糊化度や細胞破壊も小さかったが、さつまいもの水分は66%と多かった。加熱3分後は衣からの水分移動が見られ、さつまいもの水分は62%と多く、糊化度も高く、細胞破壊が見られた。さつまいもの出来上がりは衣からの水分移動が影響していると推定した。 今後は繰り返しの実験を行い、信頼性のあるデータを得る。また、素材を変えて(蛋白質食品、水分の多い食品、少ない食品)同様の実験を行い、素材の違いによる水分挙動を明らかにし、素材に適した天ぷらの揚げ方を提案する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
澱粉性食品及び蛋白質食品の天ぷらのおいしさを評価する方法が確立できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
1.澱粉性食品の天ぷらのおいしさを評価する方法の確立:平成28年度の実験を繰り返し行い、澱粉性食品の水分挙動を明らかにする。官能評価より調理過程中の水分の移動が天ぷらのおいしさに与える影響を調べ、澱粉性食品の天ぷらのおいしさを評価する方法を確立する。 2.蛋白質性食品の天ぷらのおいしさを評価する方法の検討:調理過程中の水分蒸発量の変化と衣及び蛋白質性食品の品質(テクスチャー、組織構造、アミノ酸含量)の変化から調理過程中の水分が衣及び蛋白質性の品質に与える影響を考察する。 3.水分の含量の異なる天ぷらのおいしさを評価する方法の検討
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、当該年度の実験が澱粉性食品の天ぷらの衣および素材の水分挙動の調査のみに留まり、蛋白質食品の調査ができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に繰り越した金額は澱粉性食品の衣と素材の水分挙動を明らかにする(繰り返し調査)ための試薬及び食材費として200,000円、蛋白質性食品の衣と素材の水分の挙動を調べるための試薬及び食材費として600,000円使用する。
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Research Products
(1 results)