2016 Fiscal Year Research-status Report
異所性脂肪組織に起因する糖尿病発症機構の解明と食事因子による改善
Project/Area Number |
15K16204
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
針谷 夏代 山梨大学, 総合研究部, 助教 (80732784)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | インスリン抵抗性 / 高脂肪食 / ベータカロテン / 脂質代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、栄養バランスの偏った食事摂取によるインスリン抵抗性の発症に骨格筋などに蓄積した異所性脂肪が関与し、水溶性食物繊維やベータカロテンなどの食事因子やエピゲノム因子の阻害剤の摂取によりインスリン抵抗性の発症抑制効果を検証することを目的としている。 脂質異常症をきたしやすいモデルとしてスナネズミを用い、脂肪エネルギー比率約40%の高脂肪食を3ヶ月間自由摂取させた(対照群)。試験群にはこの高脂肪食にベータカロテンを添加した。ベータカロテンの添加量は2段階とし、少ない群(低カロテン群)および多い群(高カロテン群)の2群を設けた。ベータカロテンは共役二重結合を持つ構造で抗酸化作用を有し、小腸で吸収後に開裂を受けてビタミンAへ変換される。スナネズミはこの変換効率がヒトと同等であるため、体内への吸収後に抗酸化作用を発揮し、高脂肪食の摂取で生じる活性酸素種の除去を促進することが期待される。対照群およびベータカロテン添加群(低カロテン群、高カロテン群)は高脂肪食の摂取により肥満になった。経口グルコース負荷試験によりインスイン抵抗性の発症を確認し、屠殺を行った。高中性脂肪血症ならびに脂肪肝を発症していたが、3群間で差は見られなかった。肝臓脂質含量にも差は見られなかったが、血清HDLコレステロール値においてはカロテンを摂取した2つの群において対照群よりも有意に上昇した。以上の結果より、ベータカロテンは高脂肪食による肥満やインスリン抵抗性の発症を抑制することはできなかったが、コレステロール代謝を改善する可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
飼育動物の病態発症の遅延による。
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Strategy for Future Research Activity |
スナネズミおよび昨年度飼育していたOLETFラットおよびBRD4ヘテロ欠損マウスの組織の解析を進める。研究の進行を妨げる要因はいずれにも無いため計画通り実行できると考えられる。
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