2016 Fiscal Year Research-status Report
転写因子THRSPを標的とした小腸吸収機能制御と心血管疾患リスク低減への展開
Project/Area Number |
15K16205
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
島田 昌也 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (10576755)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | フルクトース / THRSP |
Outline of Annual Research Achievements |
小腸から吸収された単糖(グルコースおよびフルクトース)は門脈を介して肝臓に到達し代謝される。肝臓においてフルクトースは解糖系をバイパスしグルコースよりも急速に脂肪合成に利用されるため,過剰なフルクトースの摂取は脂肪肝を発症・促進する。また,肝臓における転写因子THRSPは脂肪合成と同調してその発現量が変動することが報告されている。そこで,糖質源をグルコースあるいはフルクトースとした食餌をラットに摂取させることにより,高フルクトース食が肝臓の脂質蓄積,脂質代謝系酵素ならびにTHRSPを含めた脂肪合成に関与する転写因子に及ぼす影響を検討した。 (1)フルクトース摂取と肝臓脂肪蓄積の関連性;高グルコース食を摂取させた群と比較し高フルクトース食を摂取させた群では,肝臓トリグリセリド濃度が有意に増加,肝臓コレステロール濃度は増加傾向を示した。 (2)フルクトースと脂質代謝酵素の関連性;高グルコース食を摂取させた群と比較し高フルクトース食を摂取させた群では,肝臓の脂肪酸合成系の遺伝子発現(PKLR,ACACA,FASNなど)およびタンパク質発現(PKLR,FASN)が有意に上昇した。一方,脂肪酸β酸化系酵素(CPT1a,ACO)の遺伝子発現には変化がなかった。 (3)フルクトースと脂肪合成に関与する転写因子の関連性;高グルコース食を摂取させた群と比較し高フルクトース食を摂取させた群では,肝臓のTHRSPおよびChREBPの遺伝子発現は有意に上昇した。一方,SREBP1cの遺伝子発現には変化がなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高グルコース食と比較し高フルクトース食の摂取により肝臓THRSPの遺伝子発現が顕著に上昇したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
肝臓においてTHRSPが脂肪合成系遺伝子を制御するかを調べる。 糖尿病モデル動物の小腸においてTHRSPの発現が変化するか,また,THRSPが糖質消化吸収関連遺伝子を制御するかを調べる。
|