2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K16207
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
堤 理恵 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 助教 (80510172)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | BIA / 重症患者 / 体組成 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在多くの施設において栄養評価・患者評価のひとつとして体組成計が用いられているが、循環動態・呼吸動態の変動の著しい重症患者においてどこまで有効かは定かではない。本年度はICU入室患者の体組成をBIA法にもとづき測定し、その有効性を評価した。中でも特に位相角は細胞透過性の指標として予後との関連が注目されている。我々の検討では、位相角は在室日数、人工呼吸器離脱日数と有意な負の相関を示した。一方で重症度の指標であるAPACHEIIや炎症指標であるCRPとの関連は認められなかった。重症患者と術後患者では位相角に有意な差があり、重症患者で低値を示した。また特に敗血症患者で有意に低い位相角、すなわち細胞透過性の低下を認めることも明らかとなった。 こうした位相角の原理は体内水分量とは別個のものであるが、同時に体内水分、体外水分を検討したところ、細胞外水分率の高い患者では予後が悪く、入室後4日目の異常値がキーポイントになることが明らかとなった。 位相角とその他の指標と予後に対する関連を調べた。位相角は在室日数、人工呼吸離脱日数の点ではAPACHEIIスコアよりも鋭敏な指標であり、死亡率、炎症反応ではAPACHEIIスコアが鋭敏であった。また、除脂肪体重、すなわち筋肉量は、入室時の総重量は予後に影響しないが、入室後の減少率は予後と関連を示すことが明らかとなり、現在筋肉量の減少に与える因子を探索している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は患者数も多く測定でき、重症患者89名、術後ICU入室患者69名のデータが得られた。またこれまでの予備検討での結果が再確認でき位相角(細胞透過性の指標)が重症患者の予後指標である可能性が示唆された。体組成計で測定する筋肉量の変化では重症患者と術後患者の減少傾向の違いが明らかとなり、新しい方向性も見えてきた。このことからおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は当初の予定どおり栄養素投与別に位相角はじめ体組成に与える変化を検討する予定である。 これまでに位相角と予後の関連性が明らかとなったため、前年度の対象患者の栄養投与量・投与内容のデータに加えて本年度に新たに測定する患者のデータもあわせ、位相角と栄養投与、そして予後の関連を明らかにしていく中でタンパク質の必要量の設定を検討する予定である。また、新たに見えてきた筋肉量の減少傾向の患者病態による相違についても検討を重ねていく。
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Research Products
(4 results)