2015 Fiscal Year Research-status Report
転写伸長促進因子を介した栄養素による小腸消化吸収機能の改善
Project/Area Number |
15K16209
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
本間 一江 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (80724765)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | フルクトース / 小腸 / ヒストン修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
小腸糖質消化吸収関連遺伝子の絶食による発現低下および栄養素(高デンプン食およびフルクトース水溶液)による発現増大には、エピゲノム(ヒストンアセチル化修飾および新規エピゲノム因子BRD4の結合)の変動が関与するという知見が得られている。しかしながら、フルクトースのシグナルが、どのようにして核内の標的となる転写因子に受け取られるかは不明である。 本研究では、C57BL/6J系マウスおよびC57BL/6J由来のBrd4ヘテロ欠損マウスに、低糖質高脂質食を1週間与え、4時間の絶食の後、グルコースあるいはフルクトース(0.38 g/ 100 gBW)の水溶液の経口投与を行った。空腸組織において、ヒストンアセチル化酵素の中で、general control of amino acid synthesis(GCN5)のmRNA発現量が、フルクトースの投与によって、野生型マウスとBrd4ヘテロ欠損マウスのどちらでもグルコースと比較して有意に増大した。そのため、糖質の摂取による小腸糖質消化吸収関連遺伝子付近のヒストンアセチル化にはGCN5が寄与していることが示唆された。また、肝臓におけるフルクトース誘導性の代謝関連遺伝子の発現調節にBRD4が関与するかをマイクロアレイ解析によって検討したところ、脂質代謝関連遺伝子(Cyp8b1、Dak、Plin5)のフルクトースによる発現増大に、ヒストンアセチル化とBRD4が関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
栄養素に応答する遺伝子の発現調節機構の解明のため、主に予定していた成分であるフルクトースの検討を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
フルクトースがO結合型糖鎖修飾の基質となるN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)へ代謝されやすいことに着目し、フルクトースの摂取による遺伝子発現増大に核内因子(特にGCN5)のO-GlcNAc修飾が関与している可能性を検討する。 また、平成27年度には、脂肪酸投与による消化吸収能への効果も検討したが、期待した動物モデルとならなかったため、マウスの絶食時間の短縮や脂肪酸の前投与といったプロトコルの変更を計画している。
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Research Products
(2 results)